14.2.1 はぶ咬傷の治療は、できるだけ早期に本剤を注射することが必要である。ただし、咬傷後1〜2時間を経過して局所の疼痛、発赤、腫脹、出血等が認められない場合は、はぶ毒の注入が極めて微量か、又は全くなかったか、あるいは無毒蛇による咬傷の場合もあるので、その際は本剤の使用を見合わせること。
14.2.2 身体の保温と安静に留意すること。
14.2.3 重症者には生理食塩液又はリンゲル液、強心剤等の併用が望ましい
4)。
14.2.4 咬傷局所からの破傷風菌の混合感染の危険性が考慮される場合には、次の処置をとることが望ましい
5)。
・破傷風基礎免疫完了者
・破傷風基礎免疫未完了者
抗破傷風人免疫グロブリン250〜500IU投与、同時に反対側へ沈降破傷風トキソイドを接種
14.2.5 本剤の溶解は使用直前に行うこと。
14.2.6 本剤は保存剤を含有していないので、溶解後は直ちに使用し、残液を保存して再使用することは厳に避けること。
14.3.1 本剤投与後ショック、アナフィラキシーを起こし、急激な血圧降下、喉頭浮腫、呼吸困難等を示した場合は、アドレナリン等を注射する。治療を速やかに行うほど予後は良好である。
緊急時には、蘇生バッグ、喉頭鏡・吸引器、気管内チューブ、酸素ボンベを使用し救急蘇生を行う
1)。
軽度の血清病は多くの場合予後良好であり、抗ヒスタミン剤、副腎皮質ステロイド剤等の投与を行う。[
8.3、
11.1.1参照]
14.3.2 本剤投与後30分から12日ごろにも血清病が発現することがある。これは数日で消失するが急性腎炎を伴うこともある。
全身の皮膚そう痒のため睡眠できないときは、抗ヒスタミン剤、アドレナリン及び睡眠剤等の投与が望ましい。腎障害にはその治療を行う。
なお、血清病はいったん治癒した後、再発することもある。[
8.3参照]