医療用医薬品 : イムルリオ

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医薬品情報


総称名 イムルリオ
一般名 イムルネストラントトシル酸塩
欧文一般名 Imlunestrant Tosilate
製剤名 イムルネストラントトシル酸塩錠
薬効分類名 抗エストロゲン剤
抗悪性腫瘍剤
薬効分類番号 4291
KEGG DRUG
D12217 イムルネストラントトシル酸塩
KEGG DGROUP
DG01585 エストロゲン受容体拮抗薬
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
日米の医薬品添付文書はこちらから検索することができます。

添付文書情報2025年12月 作成(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
イムルリオ錠200mg Inluriyo Tablets 日本イーライリリー 42910J2F1022 劇薬, 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者
2.2 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5参照]

4. 効能または効果

内分泌療法後に増悪したESR1遺伝子変異を有するホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌

5. 効能または効果に関連する注意

5.1 十分な経験を有する病理医又は検査施設における検査により、ESR1遺伝子変異陽性が確認された患者に投与すること。検査にあたっては、承認された体外診断用医薬品又は医療機器を用いること。なお、承認された体外診断用医薬品又は医療機器に関する情報については、以下のウェブサイトから入手可能である:
https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/review-information/cd/0001.html
5.2 本剤の術前・術後薬物療法としての有効性及び安全性は確立していない。
5.3 臨床試験に組み入れられた患者の内分泌療法歴等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。[17.1.1参照]

6. 用法及び用量

通常、成人にはイムルネストラントとして1日1回400mgを空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

7. 用法及び用量に関連する注意

7.1 他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立していない。
7.2 本剤は食事とともに服用すると血中濃度が上昇することがあるので、本剤服用の1時間前から服用後2時間は食事をしないこと。[16.2.2参照]
7.3 閉経前乳癌及び男性に対しては、LH-RHアゴニスト投与下で使用すること。
7.4 中等度又は重度の肝機能障害(Child-Pugh分類B又はC)を有する患者に投与する場合は、本剤の1回用量を200mgに減量すること。[9.3.116.6.1参照]
7.5 強いCYP3A阻害剤と併用が避けられない場合には、本剤の1回用量を200mgに減量すること。[10.216.7.1参照]
7.6 本剤投与により副作用が発現した場合には、以下の基準を考慮して、休薬・減量・中止すること。
副作用に対する休薬、減量及び中止基準
副作用程度注)処置
肝機能障害持続する又は再発のAST又はALTの増加が基準値上限の3倍超〜5倍以下ベースライン又は基準値上限の1倍超〜3倍以下に回復するまで休薬する。
再開する場合には同量で再開できる。
以下のいずれかの条件を満たす場合
・ベースラインのAST又はALTが正常範囲内の場合、AST又はALTの増加が基準値上限の5倍超〜20倍以下
・ベースラインのAST又はALTが基準値上限を超えていた場合、AST又はALTの増加が基準値上限の8倍超
・ベースラインのAST又はALTが基準値上限の1.5倍以上の場合、AST又はALTの増加がベースラインの3倍以上又は基準値上限の8倍超のいずれかに該当するとき
ベースライン又は基準値上限の1倍超〜3倍以下に回復するまで休薬する。
再開する場合には1回200mgに減量する。
以下のいずれかの条件を満たす場合
・AST又はALTの増加が基準値上限の20倍超
・ベースラインのAST又はALTが基準値上限の1.5倍未満の場合、胆汁うっ滞がないにも関わらず、AST又はALTの増加が基準値上限の3倍以上、かつ総ビリルビンの増加が基準値上限の2倍以上
・ベースラインのAST又はALTが基準値上限の1.5倍以上の場合、胆汁うっ滞がないにも関わらず、AST又はALTの増加がベースラインの2倍以上、かつ総ビリルビンの増加が基準値上限の2倍以上
投与を中止する。
その他の副作用治療しても症状が継続する又は再発のグレード2で、7日以内にベースライン又はグレード1までに回復しない場合ベースライン又はグレード1以下に回復するまで休薬する。
再開する場合には同量で再開できる。
グレード3又は4
(無症候性の臨床検査値の変化は除く)
ベースライン又はグレード1以下に回復するまで休薬する。
再開する場合には1回200mgに減量する。

8. 重要な基本的注意

本剤は内分泌療法剤であり、がんに対する薬物療法について十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤による治療が適切と判断される患者についてのみ使用すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.3 肝機能障害患者
9.3.1 中等度又は重度の肝機能障害(Child-Pugh分類B又はC)のある患者
本剤の1回用量を減量するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。本剤の血中濃度が上昇し、副作用が強くあらわれるおそれがある。[7.416.6.1参照]
9.4 生殖能を有する者
9.4.1 妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後1週間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。[9.5参照]
9.4.2 男性には、本剤投与中及び最終投与後1週間においてバリア法(コンドーム)を用いて避妊する必要性について説明すること。[9.5参照]
9.4.3 本剤の作用機序及び動物試験の結果から、イムルネストラントは生殖能力に有害な影響を及ぼす可能性がある。ラット及びサルを用いた反復投与毒性試験で雌性生殖器への器質的影響(卵巣嚢胞、子宮及び腟萎縮)が、また、ラットを用いた反復投与毒性試験で性周期停止並びに雄性生殖器への器質的影響(精巣精子滞留、並びに精巣上体上皮空胞化及び細胞残屑)が認められている1)。[18.1参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。本剤の作用機序及び動物試験の結果から、妊娠中の女性に本剤を投与すると、胎児に対して有害な影響を及ぼす可能性がある。本剤を妊娠ラットの器官形成期に投与した試験で、臨床曝露量(AUC)の約0.05倍に相当する用量で着床後胚損失率及び吸収胚数高値、AUCの約0.62倍に相当する用量で催奇形性(外表、内臓及び骨格異常)が認められた1)。[2.29.4.19.4.218.1参照]
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。本剤のヒト乳汁中への移行は不明であるが、乳児が乳汁を介して本剤を摂取した場合、乳児に重篤な副作用が発現するおそれがある。

10. 相互作用

相互作用序文
本剤は、主にCYP3A4によって代謝され、CYP2D6、P-糖蛋白(P-gp)及び乳癌耐性蛋白(BCRP)の阻害作用を示す。
薬物代謝酵素用語
CYP3A4
薬物代謝酵素用語
CYP2D6
薬物代謝酵素用語
P-糖蛋白(P-gp)
薬物代謝酵素用語
乳癌耐性蛋白(BCRP)
10.2 併用注意
強いCYP3A阻害剤
イトラコナゾール
クラリスロマイシン
ボリコナゾール等
7.516.7.1参照]
本剤の副作用が増強されるおそれがあるので、これらの薬剤との併用は可能な限り避け、CYP3A阻害作用のない薬剤又は中程度以下のCYP3A阻害剤への代替を考慮すること。やむを得ず併用する場合には、本剤を減量するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。これらの薬剤がCYP3Aを阻害することにより、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
強いCYP3A誘導剤
カルバマゼピン
リファンピシン
フェニトイン等
16.7.2参照]
本剤の有効性が減弱するおそれがあるため、これらの薬剤との併用は可能な限り避け、CYP3A誘導作用のない薬剤又は中程度以下のCYP3A誘導剤への代替を考慮すること。これらの薬剤がCYP3Aを誘導することにより、本剤の血中濃度が低下する可能性がある。
CYP2D6の基質となる薬剤
デキストロメトルファン
イミプラミン
メトプロロール等
16.7.3参照]
これらの薬剤の副作用の発現が増強されるおそれがあるので、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。本剤がCYP2D6を阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
P-gpの基質となる薬剤
ジゴキシン
ダビガトランエテキシラート
エベロリムス等
16.7.4参照]
これらの薬剤の副作用の発現が増強されるおそれがあるので、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。本剤がP-gpを阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
BCRPの基質となる薬剤
ロスバスタチン
サラゾスルファピリジン
シンバスタチン等
16.7.5参照]
これらの薬剤の副作用の発現が増強されるおそれがあるので、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。本剤がBCRPを阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性がある。

11. 副作用

11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 10%以上1〜10%未満1%未満頻度不明
胃腸障害下痢悪心、嘔吐、便秘、腹痛  
一般・全身障害及び投与部位の状態疲労   
代謝及び栄養障害 食欲減退  
筋骨格系及び結合組織障害 関節及び筋骨格痛背部痛 
神経系障害 頭痛  
呼吸器、胸郭及び縦隔障害  静脈血栓症に関連する事象(肺塞栓症)咳嗽
血管障害 ほてり  
臨床検査値異常 ALT増加、AST増加 トリグリセリド増加

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

15. その他の注意

15.2 非臨床試験に基づく情報
15.2.1 rasH2トランスジェニックマウスを用いた26週間経口投与がん原性試験において、AUCの約1.1倍に相当する用量で、卵巣良性及び悪性顆粒膜細胞腫、並びに良性及び悪性混合型性索間質性腫瘍が認められた1)
15.2.2 ラットを用いた反復投与毒性試験において、膀胱移行上皮癌及び移行上皮過形成、並びに眼水晶体線維変性が認められた1)

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回及び反復投与
日本人の乳癌又は子宮体癌注1)患者3例に本剤400mgを1日1回空腹時反復経口投与したときの初回投与後(投与開始1日目)及び定常状態(投与開始15日目)での血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった2)
図1)本剤400mgを1日1回空腹時反復経口投与したときの初回投与後及び定常状態での血漿中濃度推移(平均値±標準偏差)
表1)本剤400mgを1日1回空腹時反復経口投与したときの初回投与後及び定常状態での薬物動態パラメータ(幾何平均値及び変動係数%)
 初回投与(投与開始1日目)定常状態(投与開始15日目)
例数33
Cmax(ng/mL)186
(61)
300
(48)
tmaxa)(hr)4.08
(4.02-4.15)
4.13
(3.93-4.20)
AUC(0-24hr)(ng・hr/mL)1980
(58)
3520
(53)
本剤の投与量1日1回200mgから1200mg注3)までの用量範囲で、Cmax及びAUCは用量に比例して増加した3)(外国人データ)。
注1)本剤の承認された効能又は効果は、内分泌療法後に増悪したESR1遺伝子変異を有するホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌である。
16.2 吸収
16.2.1 絶対的バイオアベイラビリティ
健康成人8例に本剤400mgを空腹時単回経口投与したときのイムルネストラントの絶対的バイオアベイラビリティ[平均値(変動係数%)]は10.5%(32%)であった4)(外国人データ)。
16.2.2 食事の影響
健康成人8例に低脂肪食摂取後に本剤400mgを単回経口投与したとき、空腹時投与に対する食後投与におけるイムルネストラントのAUCinf及びCmaxの最小二乗幾何平均値の比は2.04及び3.55であった5)(外国人データ)。高脂肪食摂取後のイムルネストラントの曝露についてのデータはない。[7.2参照]
16.3 分布
母集団薬物動態解析の結果、本剤を乳癌患者に経口投与したときのイムルネストラントの見かけの分布容積[平均値(変動係数%)]は4310L(69%)であった3)。ヒト血漿蛋白結合率は99.93〜99.96%であり、濃度依存性は認められなかった6)in vitro)。
16.4 代謝
イムルネストラントは、硫酸化、CYP3A4による酸化、並びにUGT1A1、1A3、1A8、1A9及び1A10による直接グルクロン酸抱合によって代謝される7)in vitro)。健康成人6例に14C-イムルネストラント400mgを単回経口投与したとき、血漿中には主に未変化体及びグルクロン酸抱合体が検出された(血漿中総放射能のAUCに対する割合は、それぞれ19.8%及び19.9%であった)(外国人データ)。
16.5 排泄
乳癌患者の母集団薬物動態解析の結果、本剤を経口投与したときのイムルネストラントの消失半減期は約30時間で、見かけのクリアランス[平均値(変動係数%)]は166L/h(51%)であった3)
健康成人5例に14C-イムルネストラント400mgを単回経口投与したとき、投与量の97.3%(未変化体として61.8%)が糞便中に排泄され、0.278%が尿中に排泄された4)(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 肝機能障害患者
本剤400mgを単回経口投与したとき、肝機能正常被験者(9例)に対する軽度肝機能障害被験者(6例)のAUCinf及びCmaxの最小二乗幾何平均値の比はそれぞれ1.23及び1.29であった。同様に中等度肝機能障害被験者(6例)では2.22及び1.51であった。重度肝機能障害被験者(6例)に本剤200mgを単回経口投与したとき、肝機能正常被験者(9例)に対する投与量補正したAUCinf及びCmaxの最小二乗幾何平均値の比はそれぞれ3.06及び1.62であった8)(外国人データ)。[7.49.3.1参照]
16.6.2 腎機能障害患者
母集団薬物動態解析の結果、腎機能注2)が正常(448例)、軽度(482例)及び中等度(108例)の腎機能障害患者においてイムルネストラントの薬物動態に大きな影響は見られなかった。
注2)eGFR(mL/min)が[1]90以上、[2]60以上90未満及び[3]30以上60未満の場合、それぞれ正常、軽度及び中等度とされた。
16.6.3 UGT1A1遺伝子多型を有する患者
(1)機能低下したUGT1A1遺伝子多型(UGT1A11/28及びUGT1A128/28)は、イムルネストラントの薬物動態に臨床的に意味のある影響を及ぼさなかった9)
16.7 薬物相互作用
16.7.1 イトラコナゾール
健康成人20例にイトラコナゾール(強いCYP3A阻害剤)200mgを1日1回反復経口投与し、本剤200mg注3)を併用して単回経口投与したとき、本剤単独投与時に対するイトラコナゾール併用投与時のイムルネストラントのAUCinf及びCmaxの最小二乗幾何平均値の比は、それぞれ2.11及び1.87であった5)(外国人データ)。[7.510.2参照]
16.7.2 カルバマゼピン
健康成人29例にカルバマゼピン(強いCYP3A誘導剤)300mgを1日2回反復経口投与し、本剤400mgを併用して単回経口投与したとき、本剤単独投与時に対するカルバマゼピン併用投与時のイムルネストラントのAUCinf及びCmaxの最小二乗幾何平均値の比は、それぞれ0.578及び0.710であった5)(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.3 デキストロメトルファン
健康成人27例に本剤800mg注3)及びデキストロメトルファン(CYP2D6の基質)30mgを併用して単回経口投与したとき、本剤非併用時に対する本剤併用投与時のデキストロメトルファンのAUCinf及びCmaxの最小二乗幾何平均値の比は、それぞれ1.33及び1.43であった10)(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.4 ジゴキシン
健康成人27例に本剤400mg及びジゴキシン(P-gpの基質)0.25mgを併用して単回経口投与したとき、本剤非併用時に対する本剤併用投与時のジゴキシンのAUCinf及びCmaxの最小二乗幾何平均値の比は、それぞれ1.39及び1.60であった10)(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.5 ロスバスタチン
健康成人27例に本剤400mg及びロスバスタチン(BCRPの基質)10mgを併用して単回経口投与したとき、本剤非併用時に対する本剤併用投与時のロスバスタチンのAUCinf及びCmaxの最小二乗幾何平均値の比は、それぞれ1.49及び1.65であった10)(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.6 その他
(1)健康成人20例に本剤400mgを1日1回7日間経口投与し、ミダゾラム(CYP3Aの基質)0.5mgを併用して単回経口投与したとき、本剤非併用時に対する本剤併用投与時のミダゾラムのAUCinf及びCmaxの最小二乗幾何平均値の比は、それぞれ0.929及び1.07であった11)(外国人データ)。
(2)健康成人27例に本剤800mg注3)及びレパグリニド(CYP2C8の基質)0.5mgを併用して単回経口投与したとき、本剤非併用時に対する本剤併用投与時のレパグリニドのAUCinf及びCmaxの最小二乗幾何平均値の比は、それぞれ1.02及び0.934であった10)(外国人データ)。
(3)健康成人27例に本剤800mg注3)及びオメプラゾール(CYP2C19の基質)20mgを併用して単回経口投与したとき、本剤非併用時に対する本剤併用投与時のオメプラゾールのAUCinf及びCmaxの最小二乗幾何平均値の比は、それぞれ1.10及び1.28であった10)(外国人データ)。
(4)健康成人32例にキニジン(P-gp阻害剤)200mgを1日2回反復経口投与し、本剤400mgを併用して単回経口投与したとき、本剤単独投与時に対するキニジン併用投与時のイムルネストラントのAUCinf及びCmaxの最小二乗幾何平均値の比は、それぞれ0.869及び0.870であった10)(外国人データ)。
(5)健康成人10例にオメプラゾール(プロトンポンプ阻害剤)40mgを1日1回5日間経口投与し、本剤400mgを併用して単回経口投与したとき、本剤単独投与時に対するオメプラゾール併用投与時のイムルネストラントのAUC0-tlast及びCmaxの最小二乗幾何平均値の比は、それぞれ1.05及び0.850であった5)(外国人データ)。
注3)本剤の承認された用法及び用量は、1日1回400mgを経口投与である。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国際共同第III相試験(EMBER-3試験)
アロマターゼ阻害剤を含む内分泌療法歴のある、ER陽性かつHER2陰性の局所進行又は遠隔転移を有する乳癌患者874例を対象に、本剤単独投与(投与群A)、治験担当医師が選択した治療(フルベストラント又はエキセメスタン)(投与群B)、及び本剤とアベマシクリブの併用投与(投与群C)を比較する無作為化非盲検第III相国際共同試験を実施した注)。投与群Aでは本剤400mg(1日1回)、投与群Bではフルベストラント500mg(1サイクルを28日間として、第1サイクルの1及び15日目、第2サイクル以降は1日目)又はエキセメスタン25mg(1日1回)を疾患進行等が認められるまで投与を継続した。なお、男性及び閉経前の女性に対しては、LH-RHアゴニストの使用下で投与した。主要評価項目である治験担当医師判定による無増悪生存期間(PFS)について、ESR1遺伝子変異陽性集団における解析結果は表1)及び図1)のとおりであった12)。[5.3参照]
注)ESR1遺伝子変異陽性集団において投与群Bに対する投与群Aの優越性を検証することは、本試験の開始時点では主目的ではなく、試験途中で主目的に追加された。
表1)国際共同第III相試験(EMBER-3試験)における成績(ESR1遺伝子変異陽性集団、投与群A及びB)
全体集団
 本剤
(投与群A)
フルベストラント又はエキセメスタン
(投与群B)
症例数(日本人症例数)138(11)118(6)
イベント発現例数109102
無増悪生存期間中央値(月)(95%信頼区間)5.49(3.91-7.39)3.84(3.68-5.52)
ハザード比(95%信頼区間)0.617(0.464-0.821)
層別ログランク検定(両側)p=0.0008
図1)無増悪生存期間Kaplan-Meier曲線(EMBER-3試験、ESR1遺伝子変異陽性集団、投与群A及びB)
安全性対象集団では、投与群Aの327例(日本人30例を含む)中160例(48.9%)、投与群Bの324例(日本人24例を含む)中104例(32.1%)に副作用が認められた。ESR1遺伝子変異陽性集団では、投与群Aの137例(日本人11例を含む)中78例(56.9%)、投与群Bの117例(日本人6例を含む)中32例(27.4%)に副作用が認められた。
安全性対象集団で認められた主な副作用は、投与群Aでは下痢(12.2%)、悪心(9.5%)、疲労(6.7%)、AST増加(5.8%)、無力症(5.8%)であった。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
イムルネストラントは、野生型及び変異型エストロゲン受容体α(ERα)に結合する選択的エストロゲン受容体分解剤(SERD)であり、ERαを分解してER依存性の遺伝子の転写を阻害することにより、ESR1遺伝子変異陽性の乳癌に対して腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている。なお、イムルネストラントは、未成熟ラットで子宮重量増加作用を示さなかったことから、アゴニスト様作用を示さずに乳癌細胞の増殖を抑制すると考えられる13)。[9.4.39.5参照]
18.2 抗腫瘍作用
イムルネストラントは、野生型ヒトERαを発現するヒト乳癌由来MCF7及びT47D細胞株、変異型(Y537Nヘテロ接合型又はホモ接合型)ヒトERαを発現させたMCF7及びT47D細胞株、並びに変異型(Y537S)ヒトERαを発現する乳癌患者由来ST941/C腫瘍細胞に対して、増殖抑制作用を示した(in vitro)。
イムルネストラントは、野生型ヒトERαを発現するヒト乳癌由来MCF7、T47D細胞株等をそれぞれ皮下移植した非肥満型糖尿病/重症複合型免疫不全マウス及び変異型ERαを発現する乳癌患者由来ST941/HI、ST941/PBR(CDK4/6阻害剤に対する耐性を有する)腫瘍組織片等をそれぞれ皮下移植したヌードマウスにおいて、腫瘍増殖抑制作用を示した13)in vivo)。

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. イムルネストラントトシル酸塩

一般的名称 イムルネストラントトシル酸塩
一般的名称(欧名) Imlunestrant Tosilate
化学名 (5R)-5-(4-{2-[3-(Fluoromethyl)azetidin-1-yl]ethoxy}phenyl)-8-(trifluoromethyl)-5H-[1]benzopyrano[4,3-c]quinolin-2-ol mono(4-methylbenzenesulfonate)
分子式 C29H24F4N2O3・C7H8O3S
分子量 696.71
融点 約245℃
物理化学的性状 白色〜黄色の粉末、メタノールにやや溶けにくく、エタノール、アセトニトリル及び0.1mol/L塩酸に溶けにくく、水にほとんど溶けない。
KEGG DRUG D12217

21. 承認条件

医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

22. 包装

28錠[14錠(PTP)×2]

23. 主要文献

  1. 社内資料:イムルネストラントの毒性試験
  2. 社内資料:日本人の乳癌患者でのイムルネストラントの薬物動態
  3. 社内資料:イムルネストラントの薬物動態プロファイル
  4. 社内資料:イムルネストラントの絶対的バイオアベイラビリティ及びマスバランス試験(JZLE試験)
  5. 社内資料:イムルネストラントの薬物動態に及ぼす食事の影響及び各種併用薬との相互作用(JZLD試験)
  6. 社内資料:イムルネストラントの血漿蛋白結合試験
  7. 社内資料:イムルネストラントのin vitro代謝試験(LY3484356PrelimMetab試験)
  8. 社内資料:様々な重症度の肝機能障害を有する被験者におけるイムルネストラントの薬物動態(JZLG試験)
  9. 社内資料:イムルネストラントの薬物動態に及ぼすUGT1A1遺伝子多型の影響
  10. 社内資料:イムルネストラント及び各種基質薬剤との相互作用(JZLI試験)
  11. 社内資料:イムルネストラントがミダゾラムの薬物動態に及ぼす相互作用(JZLK試験)
  12. 社内資料:イムルネストラントの第III相試験(JZLC試験)
  13. 社内資料:イムルネストラントの薬理試験

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
日本イーライリリー株式会社 医薬情報問合せ窓口
〒651-0086 神戸市中央区磯上通5丁目1番28号
電話:0120-360-605(医療関係者向け)
URL:http://medical.lilly.com/jp
製品情報問い合わせ先
日本イーライリリー株式会社 医薬情報問合せ窓口
〒651-0086 神戸市中央区磯上通5丁目1番28号
電話:0120-360-605(医療関係者向け)
URL:http://medical.lilly.com/jp

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
日本イーライリリー株式会社
神戸市中央区磯上通5丁目1番28号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2026/01/21 版