通常、以下の計算式を用いて算出した本剤の1日総投与量を4回に分けて経口又は経管投与する。計算式における「DCIに対する本剤の割合」は、10%から開始し、2〜3日毎に約5%ずつ増加させる。目標値は25〜35%とするが、患者の状態に応じて適宜増減する。
1日総投与量(mL)=1日あたりのカロリー摂取量(DCI)(kcal)×DCIに対する本剤の割合÷8.3(kcal/mL)
7.1 本剤の1日総投与量の算出にあたっては、患者の年齢や状態に応じて1日あたりのカロリー摂取量(DCI)を決定すること。新生児及び乳児では、他の年齢層と比較して脂肪摂取が更に必要となることがある。なお、用法及び用量の計算式中の8.3kcal/mLは本剤の単位あたりの熱量である。
7.2 中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)を使用中の患者では、本剤の開始用量(1日総投与量)を直近のMCTの投与量と同量とすることができる。MCTの投与量と同量で開始する場合、「DCIに対する本剤の割合」が目標値である25〜35%に達するまで、2〜3日毎に約5%ずつ増量すること。[
17.1.1、
17.1.2参照]
7.3 胃腸障害の発現を避けるため、本剤は原液のまま投与せず、食事又は間食時に半固形食又は液体とよく混ぜて投与すること。
7.4 胃腸障害等の発現により忍容性が得られない場合には、1日あたりの投与回数を4回超とし、1回あたりの投与量を減量すること。また、経管投与の場合は、1回あたりの投与時間を20〜30分以上長くすること。これらの対応を行っても忍容性が得られない場合には、1日あたりの投与量を減量すること。減量後、症状が消失した場合には、目標値まで漸増することを考慮すること。目標値までの増量ができない場合、最大耐用量を維持すること。漸増期間中に胃腸障害等が認められた場合には、漸増間隔の延長を考慮すること。
本剤の投与は、長鎖脂肪酸代謝異常症に精通した医師又はその指導のもとで行うこと。本剤による脂肪摂取量を考慮した上で、最新の栄養学的推奨事項を参考に食事の内容を適宜調節すること。また、本剤の漸増中や副作用による本剤の減量時には、食事の内容や患者のDCIを見直すこと。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 膵外分泌機能不全又は腸管吸収不良のある患者
患者の状態を慎重に観察し、本剤の投与量を調節すること。消化管における本剤からヘプタン酸への代謝能の低下又はヘプタン酸の吸収の低下により、本剤の作用が減弱するおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠ラットに本剤の50%DCI量、及び妊娠ウサギに本剤の30%DCI量を投与したとき(それぞれヒトに本剤の臨床用量を投与したときの1.9倍及び0.9倍に相当する用量)、胎児に骨格奇形が認められている
1)。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。
14.1 薬剤交付時の注意
14.1.1 患者又は保護者に対し、本剤の調製方法及び服用方法を指導すること。
14.1.2 本剤は瓶のまま交付すること。
14.2 薬剤調製時の注意
14.2.1 本剤に適合性のある材質(ステンレス、ガラス、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン、ポリウレタン及びシリコン)の容器、計量用シリンジや計量カップを用いて、本剤を調製又は投与すること。ポリスチレン及びポリ塩化ビニル(PVC)製の容器、計量用シリンジ及び計量カップ並びにPVC製のフィーディングチューブは、容器が劣化するおそれがあるため、使用しないこと。
14.3 経口投与時の注意
14.3.1 適切な容器に半固形食又は液体を必要量入れて、適切なシリンジや計量カップを用いて本剤の1回投与量を計量して加え、よく混合してから投与すること。
14.3.2 本剤と半固形食又は液体の混合物は、すぐに投与しない場合、冷蔵保存で24時間以内に投与すること。
14.4 経管投与時の注意
14.4.1 適切な容器に医療用食品又は粉ミルクを必要量入れて、適切なシリンジや計量カップを用いて本剤の1回投与量を計量して加え、よく混合してからすぐに投与すること。すぐに投与できない場合は廃棄すること。
14.4.2 フィーディングチューブの劣化を避けるため、本剤は原液のまま投与しないこと。
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人に本剤0.3125及び0.375g/kgを食事と混合して単回経口投与したときの本剤の主要な活性代謝物であるヘプタン酸の薬物動態パラメータを表1に示す
2)(外国人データ)。
表1:単回経口投与時のヘプタン酸の薬物動態パラメータ
| 投与量(g/kg) | 例数 | Cmax(μmol/L) | AUC0-8h(μmol・hr/L) | tmax(h) | CL/F(L/h/kg) |
| 0.3125 | 13 | 178.9±145 | 336.5±223 | 0.67[0.42,6.50] | 6.05±2.80a) |
| 0.375 | 13 | 259.1±134 | 569.1±189 | 1.20[0.42,8.30] | 4.31±1.02b) |
16.1.2 反復投与
健康成人に本剤0.3125g/kgを1日4回2日間食事と混合して反復経口投与したときの本剤の主要な活性代謝物であるヘプタン酸の薬物動態パラメータを表2に示す
2)(外国人データ)。
表2:反復経口投与時のヘプタン酸の薬物動態パラメータ
| 投与量(g/kg) | 例数 | Cmax(μmol/L) | AUC0-8h(μmol・hr/L) | tmax(h) |
| 0.3125 | 13 | 319.9±164 | 789.8±346 | 1.40[0.00,8.40] |
16.3 分布
ヘプタン酸(40及び400μmol/L)のヒト血漿タンパク結合率は、それぞれ77.5%及び80.7%であった。
16.4 代謝
本剤はリパーゼにより加水分解を受け、グリセロールとヘプタン酸に代謝される。ヘプタン酸は、中鎖アシルCoA合成酵素により炭素数7のヘプタノイルCoAに変換され、β酸化により、炭素数5のペンタノイルCoA、炭素数3のプロピオニルCoA及び炭素数2のアセチルCoAへと代謝される。
16.7 薬物相互作用
ヘプタン酸はOAT1及びOAT3に対して阻害作用を示した(IC50:30.1μmol/L及び33.1μmol/L)(
in vitro)。[
10.、
10.2参照]
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 海外第II相試験(UX007-CL201試験)
生後6カ月以上の長鎖脂肪酸代謝異常症(LC-FAOD)患者29例(CPTII欠損症患者4例、VLCAD欠損症患者12例、LCHAD欠損症患者10例、TFP欠損症患者3例)を対象に、本剤の非盲検単群試験が実施された。本剤の用法・用量は、DCIの25〜35%を目標として、1日4回に分けて食物又は飲料に混合し、経口又は経管投与とされた。本剤は忍容性を確認しながら目標投与量まで漸増して投与することとされ、本剤投与前に偶数鎖MCTを摂取していた患者では、本剤の初回投与量はMCTの量と同量とすることが可能とされ、ベースライン時にMCTの投与は中止された。本剤への忍容性が認められない場合は、1日あたりの投与回数を増加する又は経管投与時の投与時間を長くすることとされ、それでも忍容性が認められない場合には本剤の減量が可能とされ、その後は最大耐用量を維持することとされた。
有効性について、主な評価項目とされた本剤投与前78週間及び本剤投与後78週間における主要臨床イベント(MCE)
注)の年換算イベント発現率及び年換算イベント発現日数は表3のとおりであった
3)。
注)横紋筋融解症、低血糖症又は心筋症のいずれかの事象の発現により、入院、緊急治療室若しくは救急科の受診又は緊急処置(自宅又は医療機関でのLC-FAODに対する予定外の治療薬の投与)に至った場合
表3:MCEの年換算イベント発現率及び年換算イベント発現日数
| | 本剤投与例(29例) |
| 本剤投与前78週間a) | 本剤投与開始後78週間b) |
| 年換算イベント発現率(回/年) |
| 中央値[範囲] | 1.33[0.00,6.00] | 0.66[0.00,3.96] |
| 平均値±標準偏差 | 1.69±1.61 | 0.88±1.14 |
| 年換算イベント発現日数(日/年) |
| 中央値[範囲] | 5.33[0.00,23.99] | 1.24[0.00,14.74] |
| 平均値±標準偏差 | 5.96±6.08 | 2.96±3.97 |
安全性について、副作用は65.5%(19/29例)に認められ、主な副作用は下痢41.4%(12/29例)、腹痛20.7%(6/29例)、上腹部痛、ざ瘡、消化器痛、嘔吐各10.3%(3/29例)であった。[
7.2参照]
17.1.2 海外第II相試験(UX007-CL202試験)
生後6カ月以上のLC-FAOD患者94例(CPTI欠損症患者1例、CPTII欠損症患者19例、VLCAD欠損症患者32例、LCHAD欠損症患者28例、TFP欠損症患者10例、CACT欠損症患者4例)を対象に、本剤の非盲検単群試験が実施された。本試験はUX007-CL201試験から移行した患者を組み入れたCL201移行コホート、本剤未投与の患者を組み入れた本剤未投与コホート、医師主導試験又は他の機会で本剤の投与経験を有する患者を組み入れたIST/その他コホートから構成された。
本剤の用法・用量は、DCIの25〜35%を目標として、1日4回に分けて食物又は飲料に混合し、経口又は経管投与とされた。本剤は忍容性を確認しながら目標投与量まで漸増して投与することとされ、本剤投与前に偶数鎖MCTを摂取していた患者では、本剤の初回投与量はMCTの量と同量とすることが可能とされ、ベースライン時にMCTの投与が中止された。本剤への忍容性が認められない場合は、1日あたりの投与回数を増加するまたは経管投与時の投与時間を長くすることとされ、それでも忍容性が認められない場合には本剤の減量が可能とされ、その後は最大耐用量を維持することとされた。
有効性について、CL201移行コホート及び本剤未投与コホートにおける、MCE
注)の年換算イベント発現率及び年換算イベント発現日数は、それぞれ表4及び表5のとおりであった
4)。
注)横紋筋融解症、低血糖症又は心筋症のいずれかの事象の発現により、入院、緊急治療室若しくは救急科の受診又は緊急処置(自宅又は医療機関でのLC-FAODに対する予定外の治療薬の投与)に至った場合
表4:CL201移行コホートのMCEの年換算イベント発現率及び年換算イベント発現日数
| | CL201移行コホート(24例) |
| 本剤投与前a),b) | 本剤投与開始後c),d) |
観察期間(カ月) (中央値[範囲]) | 18.0[10.5,18.0] | 68.5[22.8,76.5] |
| 年換算イベント発現率(回/年) |
| 中央値[範囲] | 1.53[0.0,6.0] | 0.62[0.0,3.4] |
| 平均値±標準偏差 | 1.76±1.64 | 1.00±1.00 |
| 年換算イベント発現日数(日/年) |
| 中央値[範囲] | 5.33[0.0,24.0] | 2.93[0.0,54.7] |
| 平均値±標準偏差 | 6.31±6.35 | 7.92±13.02 |
表5:本剤未投与コホートのMCEの年換算イベント発現率及び年換算イベント発現日数
| | 本剤未投与コホート(33例) |
| 本剤投与前a) | 本剤投与開始後b) |
観察期間(カ月) (中央値[範囲]) | 18.0[18.0,18.0] | 18.0[0.1,18.0] |
| 年換算イベント発現率(回/年) |
| 中央値[範囲] | 2.00[0.0,12.0] | 0.67[0.0,121.8] |
| 平均値±標準偏差 | 2.49±2.66 | 5.64±21.40 |
| 年換算イベント発現日数(日/年) |
| 中央値[範囲] | 8.66[0.0,105.9] | 0.67[0.0,365.3] |
| 平均値±標準偏差 | 15.59±23.64 | 19.55±67.14 |
安全性について、副作用は68.1%(64/94例)に認められ、主な副作用は下痢38.3%(36/94例)、上腹部痛16.0%(15/94例)、腹部不快感11.7%(11/94例)、嘔吐10.6%(10/94例)であった。[
7.2参照]
18.1 作用機序
LC-FAODは、長鎖脂肪酸の代謝に関する酵素の遺伝子変異による常染色体潜性の遺伝性疾患であり、脂肪酸のβ酸化が障害され、TCAサイクルの機能が低下する。本剤は、グリセリン骨格に奇数鎖脂肪酸であるヘプタン酸3分子が結合しており、経口投与後に生体内でヘプタン酸が生成される。ヘプタン酸からはTCAサイクルの基質であるアセチルCoAとTCAサイクルの中間体であるスクシニルCoAが生成されるため、本剤の投与により、LC-FAODにおけるTCAサイクルの機能が改善すると考えられる。
21.1 医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
21.2 本疾患の患者を対象に実施中の国際共同試験を適切に実施し、当該試験の成績が得られた際には、当該成績を速やかに提出するとともに医療現場に適切に情報提供すること。
26.1 製造販売業者
Ultragenyx Japan株式会社
〒135-0063
東京都江東区有明三丁目7番26号 有明フロンティアビルB棟9階