医療用医薬品 : イネレクスゾ

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医薬品情報


総称名 イネレクスゾ
一般名 ゲムシタビン塩酸塩
欧文一般名 Gemcitabine Hydrochloride
製剤名 ゲムシタビン塩酸塩膀胱内投与用製剤
薬効分類名 代謝拮抗性抗悪性腫瘍剤
薬効分類番号 4291
KEGG DRUG
D01155 ゲムシタビン塩酸塩
KEGG DGROUP
DG02018 代謝拮抗薬
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
医薬品情報の概要は KEGG DRUG ページをご覧ください。

添付文書情報2026年8月 作成(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
イネレクスゾ膀胱内システム225mg INLEXZO intravesical system ヤンセンファーマ 42917A1X1020 劇薬, 処方箋医薬品

1. 警告

本剤の投与は、緊急時に十分対応できる医療施設において、膀胱癌の治療に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ実施すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 膀胱穿孔のある患者[ゲムシタビンの全身曝露のリスクの増大及び本剤の膀胱壁内又は膀胱壁外への誤留置のおそれがある。][9.1.1参照]
2.2 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

4. 効能または効果

BCG膀胱内注入療法後に残存・再発した上皮内癌を有する高リスク筋層非浸潤性膀胱癌

5. 効能または効果に関連する注意

5.1 臨床試験に組み入れられた患者の背景、前治療歴、腫瘍の状態等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。[17.1.1参照]
5.2 BCG膀胱内注入療法の再導入の適応となる患者における本剤の有効性及び安全性は確立していない。
5.3 膀胱全摘除術が可能な場合には、本剤の投与の必要性について慎重に判断すること。

6. 用法及び用量

通常、成人には本剤1ユニット(ゲムシタビンとして225mg)の3週間の膀胱内留置を、最初の6カ月間は3週間間隔で最大8回まで、その後の18カ月間は12週間間隔で最大6回まで行う。

7. 用法及び用量に関連する注意

7.1 他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立していない。
7.2 本剤を膀胱に挿入する際は、同梱の膀胱内挿入用カテーテルを使用すること。
7.3 薬剤放出に十分な尿産生を確保するため、本剤による治療中は十分な水分を摂取するよう患者に指導すること。
7.4 本剤投与により副作用が発現した場合には、下表を参考に、本剤を膀胱内留置している場合には抜去し、投与中断又は投与中止すること。
副作用発現時における本剤の投与中断又は投与中止の目安
副作用程度注)処置
血尿、尿閉、尿路感染、無菌性膀胱炎Grade 2以上Grade 1以下に回復するまで投与を中断する。
上記以外の副作用Grade 4投与を中止する。

8. 重要な基本的注意

8.1 非臨床試験によって本剤はMR Conditionalであることが示されている。膀胱内に本剤が留置された患者に対して、以下に示される条件下においては、安全にMR検査を実施することが可能である。
・静磁場強度:1.5テスラ及び3テスラ
・最大空間勾配磁場:5000ガウス/cm以下
・MR装置が示す全身平均SAR(specific absorption rate)の最大値:2W/kg(通常操作モードにおける60分間の連続スキャン(パルスシーケンス又は中断のない連続シーケンス))
上記条件で15分のスキャン時間において本剤に生じ得る最大の温度上昇は2℃以下である。
非臨床試験下において、グラジエントエコーパルスシーケンスと3T MRシステムで画像化した際、本剤により引き起こされる画像アーチファクトは本剤の実像から約2mmである。
8.2 尿路感染があらわれるおそれがあるため、適切な感染対策を講じ、尿路感染の発現又は悪化に十分注意すること。[9.1.211.1.1参照]

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 膀胱粘膜に外傷がある患者
膀胱粘膜の外傷が治癒するまで本剤の投与延期を検討すること。ゲムシタビンの全身曝露のリスクが増大するおそれがある。[2.1参照]
9.1.2 尿路感染を合併している患者
本剤の投与延期を検討すること。尿路感染が悪化するおそれがある。[8.211.1.1参照]
9.4 生殖能を有する者
9.4.1 妊娠する可能性のある女性には、本剤留置中及び抜去後6カ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。[9.515.2参照]
9.4.2 男性には、本剤留置中及び抜去後3カ月間においてバリア法(コンドーム)を用いて避妊する必要性について説明すること。[15.2参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。本剤を膀胱内留置したときのゲムシタビンの全身曝露はごくわずかだが、ゲムシタビンを静脈内投与した動物(マウス、ウサギ)において催奇形性及び胎児致死作用が報告されている。[9.4.1参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ゲムシタビンを静脈内投与した動物(ラット)において乳汁中への移行が認められているが、本剤を膀胱内留置したときのゲムシタビンの全身曝露はごくわずかであり、ヒト乳汁中への移行については不明である。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には抜去するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 尿路感染(21.2%)
尿路感染があらわれ、敗血症に至ることがある。[8.29.1.2参照]
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には抜去するなど適切な処置を行うこと。
 10%以上10%未満
感染症及び寄生虫症 膀胱炎
腎及び尿路障害頻尿(43.5%)、排尿困難(40.0%)、尿意切迫(24.7%)、血尿、尿路痛膀胱痛、膀胱痙縮、非感染性膀胱炎

14. 適用上の注意

14.1 薬剤投与前の注意
14.1.1 膀胱内に尿が存在すると、本剤の留置が容易になる可能性があるため、挿入手技の直前に膀胱を空にしないよう患者に指示すること。
14.1.2 本剤の挿入及び抜去にあたっては、取扱説明書を必ず参照すること。
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 膀胱内挿入用カテーテルを再使用しないこと。
14.2.2 留置期間終了後、膀胱鏡と非切断性の把持鉗子を用いて本剤を抜去すること。
14.2.3 本剤は単回使用の無菌製剤であるため、いったん挿入・留置した後は再度使用しないこと。

15. その他の注意

15.2 非臨床試験に基づく情報
ゲムシタビンは、変異原性試験のうち、マウスリンフォーマ細胞を用いたin vitro遺伝子突然変異試験及びマウスを用いた小核試験において、いずれも陽性の結果が報告されている。[9.4.19.4.2参照]

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 反復留置
日本人膀胱癌患者(4例)に本剤を24週までは3週間間隔で、その後99週までは12週間間隔で3週間膀胱内留置した後のゲムシタビンの血漿中濃度は、定量限界未満であった(0.1μg/mL未満)。1)
16.4 代謝
ゲムシタビンはシチジンデアミナーゼにより不活性代謝物2’,2’-ジフルオロ2’-デオキシウリジン(dFdU)に代謝される。
16.5 排泄
日本人膀胱癌患者(4例)に本剤を膀胱内留置した後、ゲムシタビンは持続的に尿中に放出され、留置後3日目にゲムシタビン及びdFdUとして尿中に回収された最大平均量は38.2mgであった。留置後1週間以内に、投与量の約72%がゲムシタビン及びdFdUとして尿中に回収された。また、最高尿中ゲムシタビン濃度の平均値は20.1μg/mLであった。2)
ミニブタに本剤を膀胱内留置したとき、本剤に含有されるゲムシタビンのうち留置7日目までに約84%、留置21日目までに約95%が尿中に放出された。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
母集団薬物動態解析の結果、軽度〜中等度の腎機能障害(クレアチニンクリアランス:30〜90mL/min)を有する患者に本剤を膀胱内留置したとき、薬物動態に臨床的に意味のある影響はなかった。重度の腎機能障害(クレアチニンクリアランス:30mL/min未満)及び透析患者における薬物動態については検討していない。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国際共同第IIb相試験(BLC2001試験)コホート2(jRCT2071200086)
膀胱全摘除術の適応がない又は膀胱全摘除術が選択されなかったBCG不応性注1)の上皮内癌(CIS)を有する高リスク筋層非浸潤性膀胱癌(NMIBC)患者85例(うち日本人2例)を対象に、本剤の有効性及び安全性を評価する非盲検非対照試験を実施した。3)本剤1ユニットの3週間の膀胱内留置を、最初の6カ月間は3週間間隔で、その後の18カ月間は12週間間隔で行うこととした。主要評価項目である完全奏効率注2)[95%信頼区間]は82%[73, 90]であった(カットオフ日:2025年3月31日)。
注1)導入療法としてのBCG膀胱内注入療法を6回のうち5回以上行った後、維持療法としてのBCG膀胱内注入療法を3回のうち2回以上又は再導入療法としてのBCG膀胱内注入療法を6回のうち2回以上を行ったものの、BCGの最終膀胱内注入後12カ月以内に高リスクNMIBC(CIS単独、T1又はTaかつ高グレードのNMIBC)の残存又は再発が確認された場合
注2)尿細胞診検査による評価並びに生検及び摘出組織切片による評価は中央判定とされ、膀胱鏡検査による評価及び画像評価は治験担当医師判定とされた。
85例中71例(83.5%)に副作用が認められた。主な副作用は、頻尿37例(43.5%)、排尿困難34例(40.0%)、尿意切迫21例(24.7%)、尿路感染18例(21.2%)、血尿14例(16.5%)及び尿路痛9例(10.6%)であった。[5.1参照]

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
本剤は、ゲムシタビン(dFdC)を膀胱内の尿中に持続的に放出する製剤である。dFdCは細胞内で代謝されて活性型のヌクレオチドである二リン酸化物(dFdCDP)及び三リン酸化物(dFdCTP)となり、これらがDNA合成を直接的及び間接的に阻害することにより殺細胞作用を示す。4)5)直接的には、dFdCTPがデオキシシチジン三リン酸(dCTP)と競合しながらDNAポリメラーゼによりDNA鎖に取り込まれた後、細胞死(アポトーシス)を誘発する。5)6)また、dFdCDPはリボヌクレオチドレダクターゼを阻害することにより、細胞内のdCTP濃度を低下させるため、間接的にDNA合成阻害が増強される。7)
18.2 抗腫瘍効果
ゲムシタビンの膀胱内持続投与は、ヒト膀胱移行上皮癌由来T24細胞株を膀胱壁に同所性移植したヌードラット等に対して、腫瘍増殖抑制作用を示した。8)9)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ゲムシタビン塩酸塩

一般的名称 ゲムシタビン塩酸塩
一般的名称(欧名) Gemcitabine Hydrochloride
化学名 2'-Deoxy-2',2'-difluorocytidine monohydrochloride
分子式 C9H11F2N3O4・HCl
分子量 299.66
物理化学的性状 白色の粉末である。
KEGG DRUG D01155

21. 承認条件

医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

22. 包装

1ユニット(乾燥剤入り)[膀胱内挿入用カテーテル1個添付]

23. 主要文献

  1. 社内資料:患者における薬物動態(BLC2001試験)(2026年8月24日承認、CTD2.7.2.2.1.3)
  2. 社内資料:日本人の薬物動態及び外国人薬物動態との比較(2026年8月24日承認、CTD2.7.2.3.3)
  3. 社内資料:TAR-200の筋層非浸潤性膀胱癌患者に対する臨床成績(17000139BLC2001試験)(2026年8月24日承認、CTD2.7.6.5)
  4. Heinemann V,et al., Cancer Research., 48 (14), 4024-4031, (1988) »PubMed
  5. Huang P,et al., Cancer Research., 51 (22), 6110-6117, (1991) »PubMed
  6. Huang P,et al., Seminars in Oncology., 22 (4 Suppl 11), 19-25, (1995) »PubMed
  7. Heinemann V,et al., Molecular Pharmacology., 38 (4), 567-572, (1990) »PubMed
  8. 社内資料:ゲムシタビンの効力を裏付ける試験に関する非臨床試験成績(2026年8月24日承認、CTD2.6.2.2.3.2(1))
  9. 社内資料:ゲムシタビンの効力を裏付ける試験に関する非臨床試験成績(2026年8月24日承認、CTD2.6.2.2.3.2(2))

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
ヤンセンファーマ株式会社 メディカルインフォメーションセンター
〒101-0065 東京都千代田区西神田3-5-2
電話:フリーダイヤル 0120-183-275
URL:https://www.janssenpro.jp
製品情報問い合わせ先
ヤンセンファーマ株式会社 メディカルインフォメーションセンター
〒101-0065 東京都千代田区西神田3-5-2
電話:フリーダイヤル 0120-183-275
URL:https://www.janssenpro.jp

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元(輸入)
ヤンセンファーマ株式会社
〒101-0065 東京都千代田区西神田3-5-2

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2026/09/16 版