通常、成人にはセノバメートとして、12.5mgを開始用量とし、1日1回経口投与する。以後は、以下に示す用量を2週間以上の間隔をあけて1段階ずつ増量し、維持用量は1日1回100〜200mgとする。なお、患者の状態に応じて投与量を適宜増減するが、200mgを超える用量への増量は2週間以上の間隔をあけて50mgずつとし、最高用量は1日1回400mgまでとする。
(本剤200mgまでの投与量増量表)
| 段階 | 用量 |
| 1 | 12.5mg |
| 2 | 25mg |
| 3 | 50mg |
| 4 | 100mg |
| 5 | 150mg |
| 6 | 200mg |
7.1 本剤を短い間隔で増量した場合、薬剤性過敏症症候群が発現するおそれがあるため、増量間隔を遵守すること。[
8.3、
8.4、
11.1.1参照]
7.2 漸増期間中は、肝機能障害、浮動性めまい、傾眠等の症状に注意しながら増量すること。
7.3 本剤投与中は、肝機能障害、浮動性めまい、傾眠等があらわれるおそれがあること、投与量の増加に伴い、副作用発現頻度が高くなる傾向が認められていることから、本剤の投与量は患者の状態を観察し慎重に調節すること。
7.4 軽度又は中等度の肝機能障害(Child-Pugh分類A又はB)では、本剤の血漿中濃度が上昇し、肝機能障害、浮動性めまい、傾眠等の副作用が増強するおそれがあるため、本剤の最大用量は1日1回200mgとすること。[
9.3.2、
16.6.1参照]
7.5 腎機能障害では、本剤の血漿中濃度が上昇し、肝機能障害、浮動性めまい、傾眠等の副作用が増強するおそれがあるため、本剤の最大用量は1日1回300mgとすること。[
9.2.2、
16.6.2参照]
8.1 傾眠、浮動性めまい等が認められ、転倒等を伴う可能性があるので、あらかじめ患者及びその家族に十分に説明し、これらの症状が認められた場合には医師の診察を受けるよう、指導すること。
8.2 副作用として肝機能障害が発生する場合があることをあらかじめ患者に説明するとともに、食欲不振、悪心・嘔吐、全身倦怠感、腹痛、下痢、発熱、尿濃染、眼球結膜黄染等があらわれた場合には、本剤の服用を中止し、直ちに受診するよう指導し、適切な処置を講ずること。[1.、
11.1.2参照]
8.3 薬剤性過敏症症候群があらわれることがあるので、発疹、発熱、リンパ節腫脹等の過敏症発現時には、本剤の投与を中止するなどの適切な処置を行うこと。[
7.1、
8.4、
11.1.1参照]
8.4 発疹、発熱、リンパ節腫脹等があらわれた場合には、本剤の服用を中止し、直ちに受診するよう、患者に指導すること。[
7.1、
8.3、
11.1.1参照]
8.5 錯乱、焦燥等の精神症状があらわれ、自殺企図に至ることもあるので、本剤投与中は患者の状態及び病態の変化を注意深く観察すること。[
15.1.1参照]
8.6 患者及びその家族等に錯乱、自殺企図等の精神症状発現の可能性について十分説明を行い、医師と緊密に連絡を取り合うよう指導すること。[
15.1.1参照]
8.7 傾眠、めまい、複視、霧視、平衡障害や歩行障害等が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
8.8 連用中における投与量の急激な減量ないし投与中止により、てんかん発作の増悪又はてんかん重積状態があらわれることがあるので、投与を中止する場合には、少なくとも2週間以上かけて徐々に減量するなど慎重に行うこと。
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 血液透析を受けている末期腎機能障害のある患者
投与しないこと。使用経験がなく、本剤の安全性に影響するおそれがある。[
2.2参照]
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重度の肝機能障害(Child-Pugh分類C)のある患者
9.3.2 軽度又は中等度の肝機能障害(Child-Pugh分類A又はB)のある患者[
7.4、
16.6.1参照]
9.4 生殖能を有する者
妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後14日間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。[
9.5、
10.2、
16.7.3参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。ラットを用いた動物試験において本剤の羊水及び胎児への移行が確認されており
1)、60mg/kgの1日1回投与で母体毒性とともに胚・胎児死亡率の高値、胎児体重の減少、胎児の骨化遅延が認められた
2)。なお、同用量では少数例の胎児に内臓奇形が認められたが、胚・胎児死亡率の高値により観察胎児数が限られたため、本剤の催奇形性については十分に評価できなかった。25mg/kgの1日2回投与(臨床推奨維持用量;1日1回200mgにおけるAUCtauの0.65倍に相当する用量)では母体毒性が認められたものの、胚・胎児発生への影響は認められなかった
3)。ウサギを用いた動物試験(1日1回投与)において、36mg/kg(臨床推奨維持用量におけるAUCtauの0.50倍に相当する用量)で母体毒性とともに胚・胎児死亡率の高値が認められた
4)。[
9.4参照]
9.6 授乳婦
授乳を避けさせること。ラットを用いた動物試験(1日1回投与)において本剤の乳汁への移行が確認されており
5)、44mg/kg(臨床推奨維持用量におけるAUCtauの0.46倍に相当する用量)で母体毒性とともに出生児に体重の低値、学習及び記憶機能への影響、雌の生殖能への影響が認められた
6)。
9.7 小児等
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。[
16.6.3参照]
相互作用序文
本剤はCYP2B6及びCYP3Aを誘導し、CYP2C19を阻害する。
薬物代謝酵素用語
CYP2B6
薬物代謝酵素用語
CYP3A
薬物代謝酵素用語
CYP2C19
10.2 併用注意
カルバマゼピン [16.7.1参照] | カルバマゼピンの血中濃度が低下し、効果が減弱するおそれがある。 | 本剤がCYP3Aを誘導することにより、カルバマゼピンの血中濃度が低下するおそれがある。 |
フェニトイン [16.7.1参照] | フェニトインの血中濃度が上昇し、副作用の発現が増強されるおそれがある。また、本剤の血中濃度が低下し、効果が減弱するおそれがある。 | 本剤がCYP2C19を阻害することにより、フェニトインの血中濃度が上昇するおそれがある。フェニトインがUGT及びCYPを誘導することにより、本剤の血中濃度が低下するおそれがある。 |
フェノバルビタール [16.7.1参照] | フェノバルビタールの血中濃度が上昇し、副作用の発現が増強されるおそれがある。 | 本剤がCYP2C19を阻害することにより、フェノバルビタールの血中濃度が上昇するおそれがある。 |
クロバザム [16.7.1参照] | クロバザムの活性代謝物であるN-脱メチルクロバザムの血中濃度が上昇するおそれがある。 | 本剤がCYP3Aを誘導し、CYP2C19を阻害することにより、活性代謝物の血中濃度が上昇するおそれがある。 |
ラモトリギン [16.7.1参照] | ラモトリギンの血中濃度が低下し、効果が減弱するおそれがある。 | 機序は不明である。 |
CYP2B6の基質となる薬剤 エファビレンツ等 [16.7.2参照] | CYP2B6の基質となる薬剤と併用する場合は、これらの薬剤の血中濃度が低下し、効果が減弱するおそれがある。 | 本剤がCYP2B6を誘導することにより、これらの薬剤の血中濃度が低下するおそれがある。 |
CYP3Aの基質となる薬剤 ミダゾラム、トリアゾラム等 [16.7.2参照] | CYP3Aの基質となる薬剤と併用する場合は、これらの薬剤の血中濃度が低下し、効果が減弱するおそれがある。 | 本剤がCYP3Aを誘導することにより、これらの薬剤の血中濃度が低下するおそれがある。 |
CYP2C19の基質となる薬剤 オメプラゾール、ジアゼパム、ランソプラゾール等 [16.7.2参照] | CYP2C19の基質となる薬剤と併用する場合は、これらの薬剤の血中濃度が上昇し、副作用の発現が増強されるおそれがある。 | 本剤がCYP2C19を阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度が上昇するおそれがある。 |
経口避妊薬 [9.4、16.7.3参照] | エチニルエストラジオールの血中濃度が低下し、効果が減弱するおそれがある。 | 本剤がCYP3Aを誘導することにより、エチニルエストラジオールの血中濃度が低下するおそれがある。 |
QT短縮作用のある薬剤 イサブコナゾニウム硫酸塩、ペフィシチニブ臭化水素酸塩、ルフィナミド | 本剤との併用によりQT短縮が増強するおそれがある。 | 併用によりQT短縮作用が増強するおそれがある。 |
アルコール(飲酒) [16.7.4参照] | 精神運動機能の低下が増強することがある。 | 本剤及びアルコールは中枢神経抑制作用を有するため、相互に作用を増強する可能性がある。 |
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 薬剤性過敏症症候群(頻度不明)
初期症状として発疹、発熱がみられ、更に肝機能障害、リンパ節腫脹、白血球増加、好酸球増多、異型リンパ球出現等を伴う遅発性の重篤な過敏症状があらわれることがある。なお、ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)等のウイルスの再活性化を伴うことが多く、投与中止後も発疹、発熱、肝機能障害等の症状が再燃あるいは遷延化することがある。原因が明らかでないこれら症状を認めた場合は直ちに本剤投与を中止し、再開しないこと。[
7.1、
8.3、
8.4参照]
11.1.2 肝機能障害
肝機能異常(2.6%)、AST(2.6%)、ALT(2.8%)、Al-P(2.0%)、γ-GTP(19.9%)、総ビリルビン(頻度不明)等の上昇を伴う肝機能障害があらわれることがあり、海外の市販後において、急性肝不全により肝移植に至った例が報告されている。[1.、
8.2参照]
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| | 5%以上 | 1〜5%未満 | 1%未満 | 頻度不明 |
| 血液及びリンパ系障害 | 白血球減少症、好中球減少症 | 血小板減少症、単球数減少、リンパ球減少症、貧血 | リンパ球増加症、白血球増加症、単球減少症、ヘマトクリット減少、ヘモグロビン減少、赤血球数減少 | |
| 心臓障害 | | 徐脈 | 動悸、洞性不整脈 | |
| 耳及び迷路障害 | | 回転性めまい | | |
| 眼障害 | 複視 | 霧視 | | |
| 胃腸障害 | 嘔吐、悪心 | 便秘、下痢 | 腹痛、口内乾燥、胃炎、腹部膨満、胃食道逆流性疾患、消化不良 | 虫垂炎 |
| 全身障害 | 疲労、歩行障害 | 無力症 | 胸部不快感、胸痛 | |
| 感染症 | | | 上気道感染、尿路感染 | 上咽頭炎、咽頭炎 |
| 代謝及び栄養障害 | 食欲減退 | | 食欲亢進 | 血中カリウム増加 |
| 筋骨格系及び結合組織障害 | | 筋力低下 | 四肢痛、背部痛 | |
| 精神・神経系 | 浮動性めまい(63.2%)、傾眠(40.4%)、運動失調、頭痛 | 眼振、嗜眠、構語障害、痙攣発作、知的能力障害、過眠症、記憶障害、振戦、うつ病、会話障害、不眠症 | 易刺激性、てんかん、てんかん重積状態、精神障害、運動緩慢、平衡障害、認知障害、自殺念慮、不安、睡眠障害、精神緩慢、ジストニア、錯感覚、刺激無反応、失語症、意識レベルの低下、構音障害、錯乱状態、味覚不全、片頭痛、自殺企図 | 鎮静、多幸気分、失見当識、健忘、協調運動異常 |
| 肝胆道系障害 | | 肝不全 | | |
| 腎及び尿路障害 | | | 蛋白尿 | 頻尿 |
| 呼吸器、胸郭及び縦隔障害 | | | 咳嗽、しゃっくり、呼吸困難 | |
| 皮膚及び皮下組織障害 | | 発疹 | そう痒症、湿疹 | |
| 血管障害 | | 低血圧 | | |
| その他 | 転倒 | 体重減少 | 月経障害、体重増加、皮膚擦過傷、尿中ビリルビン増加、頭部外傷 | 月経困難症 |
14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
15.1 臨床使用に基づく情報
15.1.1 海外で実施された複数の抗てんかん薬における、てんかん、精神疾患等を対象とした199例のプラセボ対照比較試験の検討結果において、自殺念慮及び自殺企図の発現リスクが、抗てんかん薬の服用群でプラセボ群と比較して約2倍高く(抗てんかん薬服用群:0.43%、プラセボ群:0.24%)、抗てんかん薬の服用群では、プラセボ群と比べ1000人あたり1.9人多いと計算された(95%信頼区間:0.6-3.9)。また、てんかん患者のサブグループでは、プラセボ群と比べ1000人あたり2.4人多いと報告されている。[
8.5、
8.6参照]
15.1.2 薬物の乱用経験のある外国人健康成人にプラセボ、本剤200mg、400mg、陽性対照のアルプラゾラム1.5又は3mgを単回経口投与した結果、薬物嗜好度の視覚的アナログスケールの最大効果(平均値±標準偏差)は、プラセボで52.3±0.85、本剤200及び400mgでそれぞれ60.8±2.34及び68.8±2.64、並びにアルプラゾラム1.5及び3mgでそれぞれ79.5±2.30及び85.3±2.17であった。本剤200mg及び本剤400mgはいずれもアルプラゾラム1.5及び3mgに比べ統計学的に有意に低かった。一方、本剤400mgはプラセボと比較して薬物嗜好性を有する可能性が否定できなかった。
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
日本人健康成人(各用量:6例)に本剤50mg、100mg、200mg又は400mg
注)を空腹時に単回経口投与したときのセノバメートの血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータを以下に示す
7)。
単回経口投与時のセノバメートの血漿中濃度推移
単回経口投与時のセノバメートの血漿中薬物動態パラメータ
| 用量 | 例数 | Cmax (μg/mL) | Tmax (hr) | AUC0-∞ (μg・hr/mL) | T1/2 (hr) |
| 50mg | 6 | 1.48 (0.302) | 0.750 (0.500-2.00) | 68.2 (22.8) | 37.0 (9.68) |
| 100mg | 6 | 2.50 (0.280) | 2.00 (1.00-3.00) | 145 (33.5) | 44.3 (13.3) |
| 200mg | 6 | 5.23 (0.332) | 1.75 (1.00-3.50) | 416 (95.1) | 57.7 (20.3) |
| 400mg | 6 | 10.6 (1.37) | 2.25 (1.00-3.50) | 938 (148) | 51.5 (15.2) |
16.1.2 反復投与
健康成人(各用量:7例)に本剤50mg、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、400mg、500mg
注)を1日1回反復経口投与したときの最終回投与時のセノバメートの薬物動態パラメータを以下に示す。血漿中セノバメート濃度は投与14日目以内に定常状態に達した。セノバメート50mg〜300mgの投与量範囲におけるAUCtauの累積係数の範囲は4.62〜5.85であった
8)9)10)(外国人データ)。
反復経口投与時のセノバメートの血漿中薬物動態パラメータ(最終回投与時)
| 用量 | 例数 | Cmax (μg/mL) | Tmax (hr) | AUCtau (μg・hr/mL) |
| 50mg | 7 | 5.10 (0.545) | 2.50 (1.00-3.50) | 97.3 (11.5) |
| 100mg | 7 | 11.3 (1.04) | 3.50 (1.50-3.50) | 236 (22.9) |
| 150mg | 7 | 18.5 (2.06) | 3.00 (1.00-4.00) | 368 (38.0) |
| 200mg | 6 | 24.1 (2.96) | 3.00 (2.00-4.00) | 484 (46.5) |
| 250mg | 7 | 31.4 (7.66) | 3.50 (0.50-4.01) | 574 (172) |
| 300mg | 5 | 38.7 (5.49) | 2.00 (1.01-3.50) | 762 (101) |
| 400mg | 7 | 46.1 (8.21) | 2.50 (0.750-4.00) | 873 (165) |
| 500mg | 5 | 59.3 (4.89) | 3.50 (2.02-16.0) | 1120 (148) |
16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
健康成人(18例)に本剤200mg
注)を食後単回経口投与したときのセノバメートのCmax及びAUC
0-∞は、空腹時と比較して、それぞれ0.90倍及び1.00倍であった
11)(外国人データ)。
16.3 分布
セノバメートのヒト血漿中蛋白結合率は約60%であった(
in vitro)
12)。
16.4 代謝
セノバメートの主代謝経路はUGT2B7及びUGT2B4を含むグルクロン酸転移酵素による抱合反応であり、その他CYP2E1を含む複数のCYP分子種による酸化反応により広範に代謝された(
in vitro)
13)。
16.5 排泄
健康成人(6例)に
14C-セノバメート400mg
注)を単回経口投与したとき、投与された総放射能量の88%が尿中に、5%が糞中に排泄された。尿中には総放射能量の6%が未変化体として排泄された
14)(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 肝機能障害患者
軽度、中等度又は重度肝機能障害患者(Child-Pugh分類A、B又はC)及び健康成人(各群7〜8例)を対象に本剤100mg又は200mg
注)を単回経口投与したときのセノバメートの薬物動態パラメータを以下に示す。健康成人と比較して、軽度、中等度及び重度肝機能障害患者のセノバメートのAUC
0-∞はそれぞれ1.94倍、2.30倍及び4.15倍であった
15)16)(外国人データ)。[
7.4、
9.3.1、
9.3.2参照]
健康成人及び肝機能障害被験者の薬物動態パラメータ
| | 投与量 (mg) | 例数 | Cmax (μg/mL) | Tmax (hr) | AUC0-∞ (μg・hr/mL) | T1/2 (hr) |
| 健康成人a) | 200 | 8 | 4.739 (1.146) | 1.49 (0.48-3.45) | 307.7 (131.3) | 48.7 (9.06) |
軽度 肝機能障害 | 200 | 8 | 5.808 (1.268) | 1.51 (0.98-4.02) | 569.6 (107.8) | 80.0 (24.8) |
中等度 肝機能障害 | 200 | 8 | 4.216 (0.575) | 1.28 (0.48-4.02) | 686.8 (175.5) | 133 (33.1) |
| 健康成人b) | 100 | 8 | 2.306 (0.43654) | 0.5100 (0.480-2.00) | 103.3 (41.673) | 43.44 (18.641) |
重度 肝機能障害 | 100 | 6 | 2.263 (0.45063) | 1.990 (0.500-3.48) | 389.4 (66.497) | 137.7 (33.212) |
16.6.2 腎機能障害患者
軽度、中等度又は重度腎機能障害患者及び健康成人
※(各群7〜8例)を対象に本剤100mg又は200mg
注)を単回経口投与したときのセノバメートの薬物動態パラメータを以下に示す。健康成人と比較して、軽度、中等度及び重度腎機能障害患者のセノバメートのAUC
0-∞はそれぞれ1.37倍、1.48倍及び0.88倍であった
17)(外国人データ)。[
7.5、
9.2.2参照]
※:Cockcroft-Gault式に基づく推定クレアチニンクリアランス値(CLcr値)による分類(正常:CLcr≧90mL/min、軽度:60mL/min≦CLcr<90mL/min、中等度:30mL/min≦CLcr<60mL/min、重度:15mL/min≦CLcr<30mL/min)
健康成人及び腎機能障害被験者の薬物動態パラメータ
| | 投与量 (mg) | 例数 | Cmax (μg/mL) | Tmax (hr) | AUC0-∞ (μg・hr/mL) | T1/2 (hr) |
| 健康成人 | 200 | 8 | 5.49 (1.15) | 1.00 (0.483-2.98) | 342 (104) | 52.5 (9.48) |
軽度 腎機能障害 | 200 | 8 | 4.69 (0.627) | 2.75 (1.50-4.03) | 470 (132) | 72.9 (25.3) |
中等度 腎機能障害 | 200 | 6 | 5.02 (0.870) | 1.50 (0.967-4.00) | 494 (89.9) | 73.1 (12.1) |
重度 腎機能障害 | 200a) | 8 | 4.14 (0.626) | 3.01 (0.500-4.00) | 295 (58.2) | 56.4 (10.8) |
16.6.3 高齢者
健康成人及び高齢者(各群12例)を対象に本剤200mg
注)を単回経口投与したとき、健康成人に対する高齢者のセノバメートのCmax及びAUC
0-∞はそれぞれ0.96倍及び1.06倍であった
18)(外国人データ)。[
9.8参照]
16.7 薬物相互作用
16.7.1 抗てんかん薬
(1)バルプロ酸
健康成人(16例)に本剤150mg
注)を1日1回反復経口投与、ジバルプロエクス1000mgを1日1回反復経口投与したとき、バルプロ酸及びセノバメートの薬物動態への影響は認められなかった
19)(外国人データ)。
(2)カルバマゼピン
健康成人(16例)に本剤200mg
注)を1日1回反復経口投与、カルバマゼピン(100mg〜200mg/回、1日1回又は1日2回)を反復経口投与したとき、カルバマゼピン単独投与時と比較して、本剤併用投与時のカルバマゼピンのCmax及びAUCtauはそれぞれ0.66倍及び0.65倍に低下した。カルバマゼピンの併用はセノバメートの薬物動態に影響を与えなかった
20)(外国人データ)。
健康成人(16例)に本剤200mg
注)を1日1回反復経口投与、カルバマゼピン(100mg〜200mg/回、1日1回又は1日2回)を14日間反復経口投与したとき、カルバマゼピン単独投与時と比較して、本剤併用投与時のカルバマゼピンのCmax及びAUCtauはそれぞれ0.77倍及び0.76倍に低下し、カルバマゼピン-10,11-エポキシドのCmax及びAUCtauは1.28倍及び1.20倍に増加した
21)(外国人データ)。[
10.2参照]
(3)フェニトイン
健康成人(16例)に本剤200mg
注)を1日1回反復経口投与、フェニトイン(100mgの1日3回又は300mgの1日1回)を反復経口投与したとき、フェニトイン単独投与時と比較して、本剤併用投与時のフェニトインのCmax及びAUCtauはそれぞれ1.67倍及び1.84倍に上昇した。フェニトインの併用により、セノバメートのCmax及びAUCtauは0.73倍及び0.72倍に低下した
22)(外国人データ)。[
10.2参照]
(4)フェノバルビタール
健康成人(16例)に本剤50〜200mg
注)を1日1回反復経口投与、フェノバルビタール(30mgの1日3回又は90mgの1日1回)を反復経口投与したとき、フェノバルビタール単独投与時と比較して、本剤併用投与時のフェノバルビタールのCmax及びAUCtauはそれぞれ1.34倍及び1.37倍に上昇した。フェノバルビタールの併用はセノバメートの薬物動態に影響を与えなかった
23)(外国人データ)。[
10.2参照]
(5)母集団薬物動態解析
外国人及び日本人の健康成人及びてんかん患者から得られた血漿中セノバメート濃度データを用いて、母集団薬物動態解析を実施した。その結果、見かけの全身クリアランス(CL/F)に対して、体重、ビリルビン、併用抗てんかん薬が有意な共変量であった。抗てんかん薬であるクロバザム及びカルバマゼピンの併用により、セノバメートのCL/Fはそれぞれ20.5%低下及び17.7%上昇した
24)。
外国人のてんかん患者から得られた血漿中セノバメート濃度データを用いて、母集団薬物動態解析を実施し、本剤が併用抗てんかん薬の血中濃度に与える影響を検討した
25)(外国人データ)。
以下に相互作用が血中濃度に及ぼす影響を要約する。[
10.2参照]
| 抗てんかん薬 | セノバメートの血中濃度に対する抗てんかん薬の影響 | 抗てんかん薬の血中濃度に対するセノバメートの影響 |
| バルプロ酸 | 影響なしa) | 影響なしa) |
| カルバマゼピン | 影響なしa,b) | 0.65〜0.76倍に低下a) |
| フェニトイン | 0.72倍に低下a) | 1.84倍に上昇a) |
| フェノバルビタール | 影響なしa) | 1.37倍に上昇a) |
| クロバザム | 影響なしb) | − |
| ラコサミド | 影響なしb) | − |
| ラモトリギン | 影響なしb) | 0.48〜0.79倍に低下c) |
| レベチラセタム | 影響なしb) | 影響なしc) |
| オクスカルバゼピン | 影響なしb) | 影響なしc) |
| トピラマート | 影響なしb) | − |
| ペランパネル | 影響なしb) | − |
16.7.2 ミダゾラム、ワルファリン、オメプラゾール、ブプロピオン
健康成人(24例)に本剤(12.5mg〜200mg)
注)を1日1回反復経口投与、ミダゾラム(CYP3A基質)2mg/mL、ワルファリン(CYP2C9基質)5mg、オメプラゾール(CYP2C19基質)20mg及びブプロピオン(CYP2B6基質)150mgをカクテル基質として単回経口投与したときの、本剤が各CYP分子種の基質となる薬剤の薬物動態に与える影響を検討した
26)(外国人データ)。[
10.2参照]
(1)ミダゾラム(CYP3A基質)
ミダゾラム単独投与時と比較して、本剤100mg併用投与時のミダゾラムのCmax及びAUC
0-lastはそれぞれ0.73倍及び0.73倍に低下し、本剤200mg併用投与時のミダゾラムのCmax及びAUC
0-lastはそれぞれ0.39倍及び0.28倍に低下した。[
10.2参照]
(2)ブプロピオン(CYP2B6基質)
ブプロピオン単独投与時と比較して、本剤200mg併用投与時のR-ブプロピオンのCmax及びAUC
0-lastはそれぞれ0.76倍及び0.61倍に低下し、S-ブプロピオンのCmax及びAUC
0-lastはそれぞれ1.00倍及び0.69倍に低下した。[
10.2参照]
(3)オメプラゾール(CYP2C19基質)
オメプラゾール単独投与時と比較して、本剤200mg併用投与時のオメプラゾールのCmax及びAUC
0-lastはそれぞれ1.83倍及び2.07倍に上昇した。[
10.2参照]
(4)ワルファリン(CYP2C9基質)
本剤200mgの併用はR-ワルファリン及びS-ワルファリンの薬物動態に影響を与えなかった。
16.7.3 経口避妊薬(ノルエチステロン1mg及びエチニルエストラジオール0.035mg含有)
健康成人(28例)に本剤100mg
注)を1日1回反復経口投与、経口避妊薬を1日1回反復経口投与したとき、経口避妊薬単独投与時と比較して、セノバメート併用投与時のノルエチステロンのCmax及びAUCtauはそれぞれ1.12倍及び1.37倍に上昇し、エチニルエストラジオールのCmax及びAUCtauはそれぞれ1.00倍及び0.87倍に低下した。経口避妊薬の併用はセノバメートの薬物動態に影響を与えなかった
27)(外国人データ)。[
9.4、
10.2参照]
16.7.4 アルコール
健康成人(32例)に本剤200mg
注)単回経口投与、エタノール(40%エタノール含有オレンジジュースを男性に0.7g/kg、女性に0.57g/kg投与)を単回経口投与したとき、エタノール及びセノバメートの薬物動態への影響は認められなかった。本剤及びエタノールの併用投与時には、それぞれの単独投与時と比較し、持続的注意力への明らかな影響は認められず、一部の評価項目で精神運動機能の低下、鎮静作用の増強を示唆する結果が認められたものの、一貫した中枢抑制作用の増強は認められなかった
28)(外国人データ)。[
10.2参照]
注)本剤の承認された用法は1日1回投与であり、開始用量は12.5mg、2週間以上の間隔をあけて1段階ずつ増量し、維持用量は100〜200mg、最高用量は400mgである。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 第III相試験(jRCT番号:jRCT2031200405)
既存の抗てんかん薬で十分な発作抑制効果が得られない部分発作を有する18歳以上のてんかん患者519例(日本人患者132例を含む)を対象として、本剤100mg、200mg、400mg及びプラセボを24週間(用量漸増期18週間及び維持期6週間)投与する二重盲検期を実施した。また、二重盲検期を完了した患者410例を対象に、52週間(18週間の二重盲検切替えフェーズにて400mgに漸増し、2週間かけて300mgに減量した後に本剤50〜400mgにて用量調節を行いながら投与する32週間の非盲検維持期)投与する非盲検継続期を実施した。
(1)二重盲検期
主要評価項目である維持期における28日間あたりの発作回数のべースラインからの変化率は下表のとおりであり、プラセボ群と本剤100mg群、本剤200mg群及び本剤400mg群の間で統計学的な有意差が認められた
29)。
| | 例数a) | 28日間あたりの発作回数b) | 順位化c) |
| ベースライン期 | 維持期 | 変化率 | プラセボ群との差d, e) | プラセボ群に対するp値e, f) |
| プラセボ群 | 117 | 11.00 | 8.20 | -25.86 | − | − |
| 本剤100mg群 | 113 | 9.00 | 4.78 | -42.56 | -47.58 [-75.44, -19.73] | <.001 |
| 本剤200mg群 | 113 | 9.50 | 2.73 | -78.29 | -115.04 [-143.38, -86.71] | <.001 |
| 本剤400mg群 | 103 | 12.22 | 0.00 | -100.0 | -168.32 [-196.11, -140.54] | <.001 |
二重盲検期における副作用発現頻度は、本剤100mg群で53.9%(69/128例)、本剤200mg群で72.3%(94/130例)、本剤400mg群で90.6%(116/128例)、プラセボ群で39.2%(51/130例)であった。主な副作用は本剤100mg群で浮動性めまい19.5%(25/128例)、傾眠21.1%(27/128例)、本剤200mg群で浮動性めまい36.9%(48/130例)、傾眠26.9%(35/130例)、本剤400mg群で浮動性めまい64.8%(83/128例)、傾眠45.3%(58/128例)、プラセボ群で浮動性めまい10.8%(14/130例)、傾眠14.6%(19/130例)であった。
(2)非盲検継続期
非盲検維持フェーズにおける28日間あたりの発作回数の治療期開始前ベースラインからの変化率の中央値は、二重盲検期100mg群で-81.98%、二重盲検期200mg群で-86.05%、二重盲検期400mg群で-93.73%及び二重盲検期プラセボ群で-80.19%であり、有効性は長期にわたり維持された
30)。
非盲検継続期における副作用発現頻度は、80.0%(328/410例)であった。主な副作用は浮動性めまい51.2%(210/410例)、傾眠26.1%(107/410例)であった。
17.3 その他
17.3.1 QT/QTc評価試験
健康成人を対象に、本剤200mg又は500mgを単回投与したときのQTcF間隔のベースラインからの変化量のプラセボ投与時との差は、投与0.5時間後に最小値となり、本剤200mg及び本剤500mg
注)で-11msec及び-18msecであった。本剤投与時において、いずれの用量、時点においてもQT間隔の短縮が認められた
31)(外国人データ)。[
2.4参照]
注)本剤の承認された用法は1日1回投与であり、開始用量は12.5mg、2週間以上の間隔をあけて1段階ずつ増量し、維持用量は100〜200mg、最高用量は400mgである。
18.1 作用機序
セノバメートは、GABA
A受容体の複数のサブタイプに対する正のアロステリック調節作用を示すとともに、電位依存性ナトリウムチャネルの不活性化を促進及び持続性ナトリウム電流を阻害する
32)33)。
18.2 薬理作用
18.2.1 神経発火抑制作用
セノバメートは、ヒト人工多能性幹細胞由来の興奮性神経細胞とアストロサイトの共培養系において濃度依存的に神経発火を抑制した
34)。
18.2.2 てんかんモデルのてんかん発作に対する作用
セノバメートは、ラット扁桃体キンドリング発作を抑制した
35)。また、マウス6Hzてんかん発作及びラット海馬キンドリング発作を抑制した
36)37)。
18.2.3 てんかん脳波に対する作用
セノバメートは、Strasbourg遺伝的欠神てんかんモデル(GAERS)の棘徐波放電を抑制した
38)。また、ラット扁桃体キンドリングモデルの後発射持続時間を抑制した
35)。
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。