医療用医薬品 : ベクティビックス

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医薬品情報


総称名 ベクティビックス
一般名 パニツムマブ(遺伝子組換え)
欧文一般名 Panitumumab(Genetical Recombination)
製剤名 パニツムマブ(遺伝子組換え)注
薬効分類名 抗悪性腫瘍剤
ヒト型抗EGFR注1)モノクローナル抗体 注1)EGFR:Epidermal growth factor receptor(上皮細胞増殖因子受容体)
薬効分類番号 4291
ATCコード L01FE02
KEGG DRUG
D05350 パニツムマブ
KEGG DGROUP
DG03162 EGFR阻害薬
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2025年9月 改訂(効能変更、用法及び用量変更)(第2版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ベクティビックス点滴静注100mg Vectibix for I.V.Infusion 100mg 武田薬品工業 4291417A1020 79749円/瓶 生物由来製品, 劇薬, 処方箋医薬品注2)
ベクティビックス点滴静注400mg Vectibix for I.V.Infusion 400mg 武田薬品工業 4291417A2027 316550円/瓶 生物由来製品, 劇薬, 処方箋医薬品注2)

1. 警告

1.1 本剤を投与する場合は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に対して十分な知識と経験を持つ医師のもとで、本剤が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
1.2 間質性肺疾患があらわれることがあり、死亡に至った症例も報告されている。異常が認められた場合には本剤の投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。[9.1.111.1.2参照]
1.3 重度のInfusion reactionが発現し、死亡に至る例が報告されている。症状としては、アナフィラキシー様症状、血管浮腫、気管支痙攣、発熱、悪寒、呼吸困難、低血圧等があらわれることがある。重度のInfusion reactionがあらわれた場合には、本剤の投与を中止し、以降、本剤を再投与しないこと。[2.17.28.111.1.3参照]

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 本剤の成分に対し重度の過敏症の既往歴のある患者[1.311.1.3参照]

4. 効能または効果

KRAS遺伝子野生型の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌
○がん化学療法後に増悪したKRAS G12C変異陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌

5. 効能または効果に関連する注意

<効能共通>
5.1 術後補助化学療法として本剤を使用した場合の有効性及び安全性は確立していない。
KRAS遺伝子野生型の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌>
5.2 RASKRAS及びNRAS)遺伝子変異の有無を考慮した上で、適応患者の選択を行うこと。[17.1.2-17.1.4参照]
5.3 「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。[17.1.1-17.1.4参照]
<がん化学療法後に増悪したKRAS G12C変異陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌>
5.4 フッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤、オキサリプラチン及びイリノテカン塩酸塩水和物による治療歴のない患者における本剤の有効性及び安全性は確立していない。
5.5 「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、本剤以外の治療の実施についても慎重に検討し、適応患者の選択を行うこと。[17.1.5参照]

6. 用法及び用量

KRAS遺伝子野生型の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌>
通常、成人には2週間に1回、パニツムマブ(遺伝子組換え)として1回6mg/kg(体重)を60分以上かけて点滴静注する。なお、患者の状態に応じて適宜減量する。
<がん化学療法後に増悪したKRAS G12C変異陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌>
ソトラシブとの併用において、通常、成人には2週間に1回、パニツムマブ(遺伝子組換え)として1回6mg/kg(体重)を60分以上かけて点滴静注する。なお、患者の状態に応じて適宜減量する。

7. 用法及び用量に関連する注意

<効能共通>
7.1 重度(Grade3以上)の皮膚障害があらわれた場合は、下表を目安に本剤の用量を調節すること。[11.1.1参照]
重度(Grade3以上)の皮膚障害発現時の用量調節の目安
皮膚障害発現時の本剤の投与量本剤の投与投与延期後の状態本剤の用量調節
6mg/kg投与延期6週間以内にGrade2以下に回復注)6mg/kg又は4.8mg/kg
4.8mg/kg投与延期6週間以内にGrade2以下に回復注)3.6mg/kg
3.6mg/kg投与中止  
7.2 重度(Grade3以上)のInfusion reactionがあらわれた場合、本剤の投与を中止し、以降、本剤を再投与しないこと。また、Grade2以下のInfusion reactionがあらわれた場合は、投与速度を減じて慎重に投与すること。[1.311.1.3参照]
7.3 1回投与量として1,000mgを超える場合は、日局生理食塩液で希釈し約150mLとし、90分以上かけて点滴静注すること。
KRAS遺伝子野生型の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌>
7.4 本剤と併用する他の抗悪性腫瘍剤は、「17.臨床成績」及び「15.その他の注意」の項の内容を熟知し、選択すること。[15.1.117.1.317.1.4参照]
<がん化学療法後に増悪したKRAS G12C変異陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌>
7.5 ソトラシブを休薬又は中止した場合には、本剤をそれぞれ休薬又は中止すること。

8. 重要な基本的注意

8.1 本剤の投与は重度のInfusion reactionに備えて緊急時に十分な対応のできる準備を行った上で開始すること。2回目以降の本剤投与時に初めて重度のInfusion reactionを発現することもあるので、本剤投与中は毎回患者の状態に十分注意すること。本剤投与中及び本剤投与終了後少なくとも1時間は観察期間(バイタルサインをモニターするなど)を設けること。[1.311.1.3参照]
8.2 低マグネシウム血症、低カリウム血症及び低カルシウム血症があらわれることがあるので、本剤投与開始前、また、本剤投与中及び投与終了後も血清中電解質(マグネシウム、カリウム及びカルシウム)をモニタリングすること。[11.1.5参照]
8.3 重度の皮膚障害があらわれることがあるので、必要に応じて皮膚科を受診するよう患者に指導すること。[11.1.1参照]

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 間質性肺炎、肺線維症の患者又はその既往歴のある患者
間質性肺疾患が増悪するおそれがある。[1.211.1.2参照]
9.4 生殖能を有する者
妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中、又は本剤投与終了後も最低6ヵ月間は適切な避妊法を用いるよう指導すること。カニクイザルにおいて、本剤投与により月経周期の延長、妊娠率の低下が認められた。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。本剤30mg/kgを妊娠カニクイザル(器官形成期)に投与したところ、流産及び胎児死亡の増加が認められた。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤のヒト乳汁中への移行は検討されていないが、ヒトIgGは乳汁中に移行するので、本剤も移行する可能性がある。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら投与すること。一般に高齢者では生理機能が低下していることが多い。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 重度の皮膚障害
発疹(13%)、ざ瘡様皮膚炎(10%)、紅斑(3%)、爪囲炎(3%)、そう痒症(2%)、皮膚亀裂・皮膚乾燥(1%)、皮膚剥脱(0.9%)があらわれることがある。なお、続発する炎症性又は感染性の症状(蜂巣炎、壊死性筋膜炎、敗血症等)の発現に十分注意すること。[7.1、8.3参照]
11.1.2 間質性肺疾患(間質性肺炎、肺線維症、肺臓炎、肺浸潤)(0.6%)
異常が認められた場合は、本剤の投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。[1.29.1.1参照]
11.1.3 重度のInfusion reaction(0.5%)
Infusion reactionとして、アナフィラキシー様症状、血管浮腫、気管支痙攣、発熱、悪寒、呼吸困難、低血圧等があらわれることがあるので、重度のInfusion reactionを認めた場合、本剤の投与を中止し、薬物治療(アドレナリン、副腎皮質ステロイド剤、抗ヒスタミン剤等)等の適切な処置を行うとともに、以降、本剤を再投与しないこと。Infusion reactionを発現した場合には、全ての徴候及び症状が完全に回復するまで患者を十分に観察すること。[1.32.17.28.1参照]
11.1.4 重度の下痢(12%)
重度の下痢及び脱水があらわれることがある。重度の下痢及び脱水により急性腎障害に至った症例も報告されていることから、このような症状があらわれた場合には、止しゃ薬(ロペラミド等)の投与、補液等の適切な処置を行うこと。
11.1.5 低マグネシウム血症(22%)
QT延長、痙攣、しびれ、全身倦怠感等を伴う低マグネシウム血症があらわれることがあるので、症状の発現に十分注意すること。なお、低マグネシウム血症に起因した、低カルシウム血症、低カリウム血症等の電解質異常を伴う場合には、特に症状が重篤化することがあるので注意すること。電解質異常が認められた場合には、必要に応じ電解質の補給等の適切な処置を行うこと。[8.2参照]
11.1.6 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(いずれも頻度不明)
注)発現頻度は海外第III相試験(単独投与試験)、海外第III相試験(FOLFOX4併用試験)、国際共同第III相試験(FOLFIRI併用試験)のKRAS遺伝子野生型集団及び国際共同第III相試験(ソトラシブ併用試験)のKRAS G12C変異陽性集団の結果より算出した。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
<単独投与時>
 10%以上注2)1%以上10%未満注2)0.1%以上1%未満注2)頻度不明注2)
精神・神経系  頭痛、味覚異常 
消化器 下痢、悪心、口内炎、嘔吐、口内乾燥口唇のひび割れ口唇炎、便秘
呼吸器 鼻出血咳嗽呼吸困難、鼻乾燥、肺塞栓症
皮膚そう痒症(67%)、紅斑(67%)、ざ瘡様皮膚炎(60%)、発疹、爪囲炎、皮膚乾燥、皮膚亀裂、皮膚剥脱、爪の障害爪破損、脱毛症、手掌・足底発赤知覚不全症候群爪甲離床症、多毛症、皮膚炎、湿疹 
注1) 結膜炎、睫毛の成長、流涙増加、眼充血、眼感染眼瞼感染眼乾燥、眼の炎症、眼そう痒症、眼瞼炎、角膜炎、潰瘍性角膜炎
血液/リンパ系   血小板減少症、白血球減少症
代謝異常 脱水、食欲減退低カリウム血症低カルシウム血症、高カリウム血症
その他 粘膜の炎症、発熱、疲労悪寒倦怠感、注入に伴う反応
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
<併用投与時>
 10%以上注2)5%以上10%未満注2)1%以上5%未満注2)頻度不明注2)
精神・神経系錯感覚末梢性ニューロパチー、味覚不全、末梢性感覚ニューロパチー嗜眠、異常感覚、浮動性めまい、神経毒性、不眠症、感覚鈍麻、頭痛、多発ニューロパチー 
消化器下痢(56%)、悪心(41%)、口内炎、嘔吐、便秘腹痛、消化不良口内乾燥、上腹部痛、口唇炎、口腔内潰瘍形成、アフタ性潰瘍、口腔内痛、胃食道逆流性疾患、口唇のひび割れ、口唇乾燥、腹部不快感 
呼吸器 鼻出血呼吸困難、肺塞栓症、口腔咽頭痛、咳嗽、発声障害、鼻漏 
皮膚発疹(51%)、ざ瘡様皮膚炎、皮膚乾燥、そう痒症、爪囲炎、脱毛症、皮膚亀裂、紅斑手掌・足底発赤知覚不全症候群、爪の障害皮膚毒性、皮膚剥脱、丘疹性皮疹、多汗症、皮膚潰瘍、多毛症、斑状丘疹状皮疹、色素沈着障害、皮膚炎、皮膚病変、紅斑性皮疹、湿疹 
注1)結膜炎 流涙増加、ドライアイ、睫毛の成長、霧視、眼瞼炎、眼痛角膜炎、潰瘍性角膜炎
血液/リンパ系好中球減少症(44%)、貧血、血小板減少症、白血球減少症 発熱性好中球減少症、リンパ球減少症 
心血管系  静脈炎、潮紅、低血圧、高血圧 
代謝異常食欲減退、低カリウム血症 脱水、低カルシウム血症、低リン血症 
肝臓  ALT上昇、AST上昇、高ビリルビン血症肝機能異常(AL-P、LDH、γ-GTPの上昇等)
その他疲労、粘膜の炎症、無力症発熱、体重減少毛包炎、乾燥症、末梢性浮腫、四肢痛、悪寒、限局性感染、医療機器関連感染、皮膚感染、過敏症、尿路感染、口腔カンジダ症、注入に伴う反応、疼痛、温度変化不耐症、膿疱性皮疹、爪感染、蜂巣炎、潰瘍、鼻炎、上気道感染、背部痛倦怠感

14. 適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 バイアルを振盪せず、激しく攪拌しないこと。
14.1.2 本剤は日局生理食塩液に希釈し使用すること。
14.1.3 本剤は無色の溶液で、半透明〜白色の微粒子をわずかに認めることがある。微粒子はインラインフィルターにより除去されるが、バイアルに変色がみられた場合は使用しないこと。
14.1.4 本剤の投与時には1回投与量として6mg/kgとなるように、次式に従い算出した必要量を抜き取り、日局生理食塩液に添加して全量を約100mLとする。最終濃度として10mg/mLを超えないこと。
必要量(mL)=体重(kg)×6(mg/kg)/20(mg/mL)
14.1.5 1回投与量として1,000mgを超える場合は、日局生理食塩液で希釈し約150mLとすること。
14.1.6 希釈後溶液は静かに混和し、急激な振盪は避けること。
14.1.7 本剤は保存剤を含有していないため、希釈後は6時間以内に使用すること。やむを得ず希釈後すぐに投与開始しない場合は溶液を冷蔵保存(2〜8℃)し、24時間以内に投与開始することが望ましい。
14.1.8 本剤の投与前後には日局生理食塩液を用いて点滴ラインを洗浄し、本剤と他の注射剤又は輸液との混合を避けること。
14.1.9 未使用の調製後溶液及び使用後の残液は廃棄すること。
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 本剤は、インラインフィルター(0.2又は0.22ミクロン)を用いて投与すること。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
15.1.1 海外において、化学療法未治療の転移性結腸・直腸癌患者を対象に、多施設共同無作為化非盲検試験が実施され、オキサリプラチン又はイリノテカン塩酸塩水和物を含む化学療法とベバシズマブの併用療法に本剤を併用投与したとき、本剤併用群で無増悪生存期間の短縮及び死亡率の増加が認められ、また、本剤併用群で肺塞栓、感染症(大部分は皮膚障害の合併症)、下痢及び脱水の発現頻度が高く認められたとの報告がある1)。[7.4参照]
15.1.2 海外において本剤に対する中和抗体の産生が報告されている。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
本剤(2.5、6、9mg/kg)注)を60分以上かけて点滴静注したときの血清中パニツムマブ濃度推移及び薬物動態パラメータを以下に示す。
本剤2.5〜9mg/kgを単回投与したときの血清中濃度時間曲線下面積(AUC)は、投与量以上の増加を認め、クリアランス(CL)は17.4mL/日/kg(2.5mg/kg投与)から5.92mL/日/kg(9mg/kg投与)に低下した2)
注)本剤の承認された用法・用量は1回6mg/kgの2週間間隔投与である。
単回投与時の血清中濃度推移(平均±標準偏差)
単回投与時の薬物動態パラメータ
投与量(mg/kg)Cmax(μg/mL)Cmin(μg/mL)AUC0-tau(μg・日/mL)t1/2(日)CL(mL/日/kg)
2.544.1±8.097.88±3.09135±35.63.08±0.54717.4±2.56注1)
6118±31.219.8±3.93664±80.06.72±0.7098.49注2)
9231±45.416.9±5.871,430±4157.18±1.665.92±2.05注3)
16.1.2 反復投与
本剤6mg/kgを60分以上かけて点滴静注後、2週間間隔で点滴静注を繰り返した際の3回目投与時のパニツムマブの薬物動態パラメータを以下に示す。投与3回目以降のCmax及びCminは概ね同値であると考えられた2)
反復投与時の薬物動態パラメータ
投与量(mg/kg)Cmax(μg/mL)Cmin(μg/mL)AUC0-tau(μg・日/mL)t1/2(日)
6160±13.542.5±8.521,100±1029.62±2.67
16.1.3 母集団薬物動態解析
母集団薬物動態解析を実施した結果、体重がパニツムマブのCL及び中央コンパートメントの分布容積(V1)に対して有意な影響を及ぼすことが示された。日本人と外国人の間で認められたパニツムマブのCmax、Cmin及びAUCの差は、体重の差に起因すると考えられた。年齢、性別及び癌腫に関しても、パニツムマブのCLあるいはV1に及ぼす影響が示されたが、影響の程度は体重よりも小さかった。併用化学療法の種類及び腫瘍のEGFR発現が本剤のCL及びV1に及ぼす影響は認められなかった3)
16.3 分布
125I-標識パニツムマブをサルに静脈内投与したとき、血液中の放射活性が最も高く、次いで肝臓、腎臓、副腎、肺で高い放射活性が認められた。分布に関する顕著な性差は認められなかった4)
16.5 排泄
125I-標識パニツムマブをサルに静脈内投与したとき、240時間までに投与放射活性の90%以上が尿中に回収された5)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
KRAS遺伝子野生型の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌>
17.1.1 国内第II相試験
フッ化ピリミジン系薬剤、オキサリプラチン及びイリノテカン塩酸塩水和物の投与中又は投与後に再燃若しくは不応となったEGFR発現転移性結腸・直腸癌患者52例を対象に、本剤6mg/kgを2週間間隔で単独投与した結果、奏効率(腫瘍縮小効果判定は修正RECIST基準に基づく中央判定)は13.5%(95%信頼区間:5.6、25.8)であった6)
副作用発現頻度は、98%(51/52)であり、主な副作用は、ざ瘡81%(42/52)、皮膚乾燥62%(32/52)及び発疹46%(24/52)であった6)。[5.3参照]
17.1.2 海外第III相試験(単独投与試験)
フッ化ピリミジン系薬剤、オキサリプラチン及びイリノテカン塩酸塩水和物の治療中又は治療後に病勢の進行が認められたEGFR発現転移性結腸・直腸癌患者(三次治療以降例)463例を対象に、本剤6mg/kgの2週間間隔投与と最良の支持療法(本剤群)、又は最良の支持療法単独の有効性及び安全性を比較検討した。主要評価項目である無増悪生存期間の中央値は、本剤群で8.0週(95%信頼区間:7.9,8.4)、最良の支持療法単独群で7.3週(95%信頼区間:7.1,7.7)であった(ハザード比:0.542[95%信頼区間:0.443,0.663]、p<0.0001)。全生存期間の中央値は、本剤群で6.4ヵ月(95%信頼区間:6.1,7.7)、最良の支持療法単独群で6.3ヵ月(95%信頼区間:4.9,7.6)であった(ハザード比:1.000[95%信頼区間:0.816,1.224]、p=0.8061)。KRAS遺伝子野生型集団注1)における成績は以下のとおりであった7)
KRAS遺伝子野生型集団の有効性(レトロスペクティブな解析結果)
評価項目本剤群(n=124)最良の支持療法単独群(n=119)P値ハザード比
(95%信頼区間)
無増悪生存期間中央値(週)
(95%信頼区間)
12.3(8.3,16.1)7.3(7.0,7.7)<0.00010.449
(0.341,0.590)
全生存期間中央値(月)
(95%信頼区間)
8.1(6.3,9.4)7.6(6.2,8.8)0.13950.988
(0.754,1.295)
KRAS遺伝子野生型集団における無増悪生存期間のKaplan-Meier曲線(独立画像評価委員会による中央判定,レトロスペクティブな解析結果)
また、RASKRAS及びNRAS)遺伝子野生型/変異型集団注2)におけるレトロスペクティブな解析結果は以下のとおりであった8)
評価項目本剤群最良の支持療法単独群P値ハザード比
(95%信頼区間)
RAS遺伝子野生型集団(本剤群73例、最良の支持療法単独群63例)
無増悪生存期間中央値(週)
(95%信頼区間)
14.1
(10.3,23.3)
7.0
(6.0,7.4)
<0.00010.362
(0.251,0.523)
全生存期間中央値(月)
(95%信頼区間)
8.2
(6.5,9.5)
7.5
(5.2,9.2)
0.66960.971
(0.678,1.390)
RAS遺伝子変異型集団(本剤群99例,最良の支持療法単独群114例)
無増悪生存期間中央値(週)
(95%信頼区間)
7.4
(7.3,7.7)
7.3
(6.4,7.9)
0.72890.966
(0.725,1.287)
全生存期間中央値(月)
(95%信頼区間)
5.1
(4.2,6.1)
4.4
(3.9,5.9)
0.81171.041
(0.783,1.386)
KRAS遺伝子野生型集団の本剤群の副作用発現頻度は、91%(112/123)であり、主な副作用は紅斑67%(83/123)、そう痒症67%(83/123)及びざ瘡様皮膚炎60%(74/123)であった8)。[5.25.3参照]
17.1.3 海外第III相試験(FOLFOX4併用試験)
化学療法未治療の転移性結腸・直腸癌患者1,183例を対象に、フルオロウラシル、ロイコボリンカルシウム及びオキサリプラチンを含む化学療法(FOLFOX4)に本剤を併用投与したときの有効性及び安全性を比較検討した。主要評価項目は無増悪生存期間であった。KRAS遺伝子野生型集団注1)における成績は以下のとおりであった9)
KRAS遺伝子野生型集団の有効性
評価項目本剤併用群(n=325)FOLFOX4単独群(n=331)P値ハザード比
(95%信頼区間)
無増悪生存期間中央値(月)
(95%信頼区間)
9.6
(9.2,11.1)
8.0
(7.5,9.3)
0.02340.798
(0.656,0.971)
全生存期間中央値注)(月)
(95%信頼区間)
NE
(20.3,NE)
18.8
(17.2,NE)
0.16230.831
(0.640,1.079)
KRAS遺伝子野生型集団における無増悪生存期間のKaplan-Meier曲線(独立画像評価委員会による中央判定)
また、RASKRAS及びNRAS)遺伝子野生型/変異型集団注2)におけるレトロスペクティブな解析結果は以下のとおりであった10)
評価項目本剤併用群FOLFOX4単独群P値ハザード比
(95%信頼区間)
RAS遺伝子野生型集団(本剤併用群259例、FOLFOX4単独群253例)
無増悪生存期間中央値(月)
(95%信頼区間)
10.1
(9.3,12.0)
7.9
(7.2,9.3)
0.00370.722
(0.579,0.901)
全生存期間中央値(月)
(95%信頼区間)
26.0
(21.7,30.4)
20.2
(17.7,23.1)
0.04290.781
(0.615,0.993)
RAS遺伝子変異型集団(本剤併用群272例、FOLFOX4単独群276例)
無増悪生存期間中央値(月)
(95%信頼区間)
7.3
(6.3,7.9)
8.7
(7.6,9.4)
0.00811.309
(1.072,1.600)
全生存期間中央値(月)
(95%信頼区間)
15.6
(13.4,17.9)
19.2
(16.7,21.8)
0.03421.254
(1.016,1.546)
追加解析としてKRAS及びNRAS遺伝子コドン59変異型7例を含めた解析が実施され、上記と同様の結果であった。
KRAS遺伝子野生型集団の本剤併用群の副作用発現頻度は、100%(321/322)であり、主な副作用は好中球減少症59%(189/322)、下痢56%(181/322)及び発疹54%(175/322)であった9)。[5.25.37.4参照]
17.1.4 国際共同第III相試験(FOLFIRI併用試験)
フッ化ピリミジン系薬剤を含む化学療法既治療の転移性結腸・直腸癌患者(二次治療例)1,186例(日本人20例を含む)を対象に、フルオロウラシル、ロイコボリンカルシウム及びイリノテカン塩酸塩水和物(用法・用量注3):180mg/m2を2週間間隔で投与)を含む化学療法(FOLFIRI)に本剤を併用投与したときの有効性及び安全性を比較検討した。主要評価項目は無増悪生存期間及び全生存期間であった。KRAS遺伝子野生型集団注1)における成績は以下のとおりであった11)
KRAS遺伝子野生型集団の有効性
評価項目本剤併用群注)(n=303)FOLFIRI単独群注)(n=294)P値ハザード比
(95%信頼区間)
無増悪生存期間中央値(月)
(95%信頼区間)
5.9
(5.5,6.7)
3.9
(3.7,5.3)
0.00360.732
(0.593,0.903)
全生存期間中央値(月)
(95%信頼区間)
14.5
(13.0,16.0)
12.5
(11.2,14.2)
0.11540.854
(0.702,1.039)
KRAS遺伝子野生型集団における無増悪生存期間のKaplan-Meier曲線(独立画像評価委員会による中央判定)
また、RASKRAS及びNRAS)遺伝子野生型/変異型集団注4)におけるレトロスペクティブな解析結果は以下のとおりであった12)
評価項目本剤併用群FOLFIRI単独群P値ハザード比
(95%信頼区間)
RAS遺伝子野生型集団(本剤併用群208例、FOLFIRI単独群213例)
無増悪生存期間中央値(月)
(95%信頼区間)
6.4
(5.5,7.4)
4.6
(3.7,5.6)
0.00690.701
(0.542,0.907)
全生存期間中央値(月)
(95%信頼区間)
16.2
(14.5,19.7)
13.9
(11.9,16.0)
0.08030.807
(0.634,1.027)
RAS遺伝子変異型集団(本剤併用群299例、FOLFIRI単独群294例)
無増悪生存期間中央値(月)
(95%信頼区間)
4.8
(3.7,5.5)
4.0
(3.6,5.5)
0.14370.861
(0.705,1.053)
全生存期間中央値(月)
(95%信頼区間)
11.8
(10.4,13.1)
11.1
(10.2,12.4)
0.34470.914
(0.759,1.101)
KRAS遺伝子野生型集団の本剤併用群の副作用発現頻度は、99%(299/302)であり、主な副作用は下痢63%(190/302)、発疹52%(157/302)及び悪心47%(141/302)であった11)。[5.25.37.4参照]
注1)KRAS遺伝子コドン12及び13の変異が検討された。
注2)KRAS遺伝子コドン12、13、61、117、146及びNRAS遺伝子コドン12、13、61、117、146の変異が検討された。
注3)イリノテカン塩酸塩水和物の結腸・直腸癌(手術不能又は再発)における国内承認用法・用量B法:イリノテカン塩酸塩水和物として、通常、成人に1日1回、150mg/m2を2週間間隔で2〜3回点滴静注し、少なくとも3週間休薬する。これを1クールとして、投与を繰り返す。なお、年齢、症状により適宜増減する。
注4)KRAS遺伝子コドン12、13、59、61、117、146及びNRAS遺伝子コドン12、13、59、61、117、146の変異が検討された。
<がん化学療法後に増悪したKRAS G12C変異陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌>
17.1.5 国際共同第III相試験(ソトラシブ併用試験)
化学療法歴注1)のあるKRAS G12C変異陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌患者160例(日本人25例を含む)を対象に、本剤6mg/kgの2週間間隔投与とソトラシブ960mg注2)併用投与(53例)又はソトラシブ240mg注2,3)併用投与(53例)をトリフルリジン・チピラシル塩酸塩又はレゴラフェニブ(対照群:54例)と比較した。
主要評価項目であるRECIST ver.1.1に基づく独立中央画像判定機関による無増悪生存期間注4)(データカットオフ日:2023年6月19日)は、対照群に対して本剤+ソトラシブ960mg併用群(本剤併用群)で統計学的に有意な延長が認められた13)
無増悪生存期間の結果
 本剤併用群対照群
症例数
(日本人)
53
(5)
54
(8)
中央値(月)
(95%信頼区間)
5.6
(4.2,6.3)
2.0
(1.9,3.9)
ハザード比注5)
(95%信頼区間)
0.481
(0.297,0.778)注6)
p値(両側)注7)0.005
無増悪生存期間のKaplan-Meier曲線
本剤併用群の安全性評価対象注8)53例(日本人5例を含む)中92.5%(49/53)にパニツムマブによる副作用が認められ、主な副作用は低マグネシウム血症28.3%(15/53)、発疹28.3%(15/53)、ざ瘡様皮膚炎22.6%(12/53)、皮膚乾燥18.9%(10/53)、下痢18.9%(10/53)、毛包炎15.1%(8/53)及びそう痒症15.1%(8/53)であった13)。[5.5参照]
注1)治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌に対して、フッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤、オキサリプラチン及びイリノテカン塩酸塩による1つ以上の治療歴のある患者が対象とされた。術後補助療法実施中又は終了後6カ月以内に疾患進行が認められた場合には、当該治療を治療歴の1つとみなすこととされた。高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有することが知られている患者は、免疫チェックポイント阻害薬が使用可能な国又は地域では、当該薬剤による治療歴のある患者が対象とされた。BRAF遺伝子変異を有することが知られている患者は、エンコラフェニブ及びセツキシマブが使用可能な国又は地域では、当該薬剤による治療歴のある患者が対象とされた。なお、試験参加国又は地域により使用状況が異なること等から、血管新生阻害薬による治療歴は必須とはされなかった。
注2)1日1回経口投与する。本剤の初回投与前にソトラシブを投与すること。
注3)ソトラシブの承認用法・用量は960mgを1日1回経口投与である。
注4)ランダム化されたすべての患者を含む最大の解析対象集団における評価。治験薬の投与を1回も受けなかった対照群の3例(日本人1例)を含む。
注5)ランダム化層別因子である、血管新生阻害薬による前治療歴(あり、なし)、治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌と診断されてからランダム化までの期間(18カ月以上、18カ月未満)及びECOGパフォーマンスステータス(0又は1、2)で層別したCox比例ハザードモデル。
注6)有意水準に対応した97.5%信頼区間は[0.277,0.834]
注7)ランダム化層別因子で層別した層別log-rank検定。
有意水準(両側):0.02500
注8)ランダム化されたすべての患者のうち、本剤又はソトラシブを少なくとも1回投与された患者。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
パニツムマブは、遺伝子組換え型ヒト型IgG2モノクローナル抗体である14)15)16)。パニツムマブは、ヒトEGFR発現細胞のEGFRに対して特異的かつ高親和性に結合し14)15)16)、EGFRに対するリガンドの結合の阻害及びEGFRの内在化が誘導された。
18.2 抗腫瘍作用
パニツムマブは、in vitro及びin vivo試験において、ヒト腫瘍細胞株(ヒト結腸癌由来HT29細胞株、DLD1細胞株等)の増殖を阻害した17)。また、パニツムマブとソトラシブとの併用により、各薬剤単独と比較して、KRAS G12C変異を有する結腸・直腸癌患者由来腫瘍組織片を皮下移植したインターロイキン2受容体γ鎖が完全欠損した非肥満型糖尿病/重症複合型免疫不全マウスにおける腫瘍増殖抑制作用が増強した18)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. パニツムマブ(遺伝子組換え)

一般的名称 パニツムマブ(遺伝子組換え)
一般的名称(欧名) Panitumumab(Genetical Recombination)
理化学知見その他 ヒト抗ヒトEGFRモノクローナル抗体であるIgG2をコードするゲノムDNAを導入したチャイニーズハムスター卵巣細胞で産生される214個のアミノ酸残基(C1028H1588N274O336S6、分子量:23,353.63)からなる軽鎖2分子及び445個のアミノ酸残基(C2171H3355N573O672S18、分子量:48,811.47)からなる重鎖2分子から構成される糖タンパク質(分子量:約147,000)であり、重鎖サブユニットの主成分はC末端のリジンを欠く。
KEGG DRUG D05350

20. 取扱い上の注意

20.1 個装箱開封後は遮光保存すること。

22. 包装

<ベクティビックス点滴静注100mg>
1バイアル
<ベクティビックス点滴静注400mg>
1バイアル

23. 主要文献

  1. Hecht JR,et al., J.Clin.Oncol., 27, 672-680, (2009) »PubMed
  2. パニツムマブの臨床試験成績[1](2010年4月16日承認、CTD 2.7.6.7)
  3. パニツムマブの臨床薬理試験全試験を通しての結果の比較と解析(2010年4月16日承認、CTD 2.7.2.3)
  4. パニツムマブの薬物動態試験の概要:分布(2010年4月16日承認、CTD 2.6.4.4)
  5. パニツムマブの薬物動態試験の概要:排泄(2010年4月16日承認、CTD 2.6.4.6)
  6. パニツムマブの臨床試験成績[2](2010年4月16日承認、CTD 2.7.6.3)
  7. パニツムマブの臨床試験成績[3](2010年4月16日承認、CTD 2.7.6.1)
  8. 社内資料:パニツムマブの海外第III相試験成績(20020408試験)
  9. パニツムマブの臨床試験成績[4](2010年4月16日承認、CTD 2.7.6.21)
  10. Douillard JY,et al., N Engl J Med., 369, 1023-1034, (2013) »PubMed
  11. パニツムマブの臨床試験成績[5](2010年4月16日承認、CTD 2.7.6.20)
  12. Peeters M,et al., Clin Cancer Res., 21, 5469-5479, (2015) »PubMed
  13. パニツムマブの臨床試験成績[6](2025年9月19日承認、CTD 2.7.6.1)
  14. Davis CG,et al., Cancer Metastasis Rev., 18, 421-425, (1999) »PubMed
  15. Yang XD,et al., Cancer Res., 59, 1236-1243, (1999) »PubMed
  16. Yang XD,et al., Crit.Rev.Oncol.Hematol., 38, 17-23, (2001) »PubMed
  17. パニツムマブの非臨床薬理試験成績(2010年4月16日承認、CTD 2.6.2.2)
  18. パニツムマブ及びソトラシブの非臨床薬理試験成績(2025年9月19日承認、CTD 2.6.2.2)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
武田薬品工業株式会社 くすり相談室
〒103-8668 東京都中央区日本橋本町二丁目1番1号
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〒103-8668 東京都中央区日本橋本町二丁目1番1号
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26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
武田薬品工業株式会社
〒540-8645 大阪市中央区道修町四丁目1番1号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/12/17 版