医療用医薬品 : ザーコリ

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医薬品情報


総称名 ザーコリ
一般名 クリゾチニブ
欧文一般名 Crizotinib
製剤名 クリゾチニブカプセル
薬効分類名 抗悪性腫瘍剤
チロシンキナーゼ阻害剤
薬効分類番号 4291
ATCコード L01ED01
KEGG DRUG
D09731 クリゾチニブ
KEGG DGROUP
DG03136 ALK阻害薬
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2020年2月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ザーコリカプセル200mg XALKORI Capsules ファイザー 4291026M1023 9381.4円/カプセル 劇薬, 処方箋医薬品注)
ザーコリカプセル250mg XALKORI Capsules ファイザー 4291026M2020 11669.6円/カプセル 劇薬, 処方箋医薬品注)

1. 警告

1.1 本剤の投与にあたっては、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本療法が適切と判断される症例についてのみ実施すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性(特に、間質性肺疾患の初期症状、投与中の注意事項、死亡に至った例があること等に関する情報)を十分説明し、同意を得てから投与すること。
1.2 本剤の投与により間質性肺疾患があらわれ、死亡に至った例が報告されているので、初期症状(息切れ、呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認及び胸部CT検査等の実施など、観察を十分に行うこと。異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、間質性肺疾患が本剤の投与初期にあらわれ、死亡に至った国内症例があることから、治療初期は入院又はそれに準ずる管理の下で、間質性肺疾患等の重篤な副作用発現に関する観察を十分に行うこと。[7.、8.19.1.111.1.1参照]
1.3 本剤の投与により劇症肝炎、肝不全があらわれ、死亡に至った例が報告されているので、本剤投与開始前及び本剤投与中は定期的(特に投与初期は頻回)に肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合には、本剤の投与を中止する等の適切な処置を行うこと。[7.、8.211.1.2参照]

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 ロミタピドを投与中の患者[10.1参照]

4. 効能または効果

ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
ROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌

5. 効能または効果に関連する注意

5.1 十分な経験を有する病理医又は検査施設における検査により、ALK融合遺伝子陽性又はROS1融合遺伝子陽性が確認された患者に投与すること。検査にあたっては、承認された体外診断薬を用いること。
5.2 本剤の術後補助化学療法における有効性及び安全性は確立していない。

6. 用法及び用量

通常、成人にはクリゾチニブとして1回250mgを1日2回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

7. 用法及び用量に関連する注意

副作用により、本剤を休薬、減量、中止する場合には、副作用の症状、重症度等に応じて、以下の基準を考慮すること。
副作用\グレード注1)1234
血液系注2)同一投与量を継続グレード2以下に回復するまで休薬する。回復後は休薬前と同一投与量で投与を再開する。グレード2以下に回復するまで休薬する。回復後は200mg1日2回から投与を再開する注3)
グレード1以下の血中ビリルビン増加を伴うALT又はAST上昇
1.38.211.1.2参照]
同一投与量を継続グレード1以下又はベースラインに回復するまで休薬する。回復後は200mg1日2回から投与を再開する注4)
グレード2-4の血中ビリルビン増加を伴うALT又はAST上昇注5)
1.38.211.1.2参照]
同一投与量を継続投与を中止する。
間質性肺疾患
1.28.19.1.111.1.1参照]
投与を中止する。
QT間隔延長
8.39.1.210.211.1.3参照]
同一投与量を継続グレード1以下に回復するまで休薬する。回復後は200mg1日2回から投与を再開する注4)投与を中止する。

8. 重要な基本的注意

8.1 間質性肺疾患があらわれることがあるので、初期症状(息切れ、呼吸困難、咳嗽、発熱等の有無)の確認及び胸部CT検査等の実施など十分に観察すること。また、必要に応じて動脈血酸素分圧(PaO2)、動脈血酸素飽和度(SpO2)、肺胞気動脈血酸素分圧較差(A-aDO2)、肺拡散能力(DLco)等の検査を行うこと。間質性肺疾患の発現又は症状の増悪が疑われた場合には、速やかに医療機関を受診するよう患者を指導すること。[1.2、7.、9.1.111.1.1参照]
8.2 劇症肝炎、肝不全、肝機能障害があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び本剤投与中は定期的(特に投与初期は頻回)に肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。[1.3、7.、11.1.2参照]
8.3 QT間隔延長、徐脈があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び本剤投与中は定期的に心電図及び電解質検査を行い、また、脈拍、血圧測定を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。[7.、9.1.210.211.1.3参照]
8.4 血液障害があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び本剤投与中は定期的に血液検査(血球数算定、白血球分画等)を行い、患者の状態を十分に観察すること。[11.1.4参照]
8.5 視覚障害(視力障害、光視症、霧視、硝子体浮遊物、複視、視野欠損、羞明、視力低下等)があらわれることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。また、視覚障害の発現又は症状の増悪が疑われた場合には、速やかに医療機関を受診するよう患者を指導すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 間質性肺疾患のある患者又はその既往歴のある患者
間質性肺疾患が発現又は増悪するおそれがある。[1.2、7.、8.111.1.1参照]
9.1.2 QT間隔延長のおそれ又はその既往歴のある患者
QT間隔延長が起こるおそれがある。[7.、8.310.211.1.3参照]
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 重度の腎機能障害のある患者
重度の腎機能障害のある患者を対象とした臨床試験は実施していない。[16.6.1参照]
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 中等度以上の肝機能障害のある患者
本剤の血中濃度が上昇することがある。[16.6.2参照]
9.4 生殖能を有する者
妊娠可能な女性に対しては、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること。[9.5参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。ラット及びウサギに、クリゾチニブをそれぞれ200及び60mg/kg/日(AUCに基づく用量比較で臨床曝露量と同等)反復投与したところ、胎児重量の減少が認められた1)。[9.4参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト母乳中への移行は不明である。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。

10. 相互作用

相互作用序文
本剤はCYP3A4/5により代謝され、CYP3Aに時間依存的な阻害作用を示すことが確認されている2)。また、CYP2B6に対して時間依存的な阻害作用を示したことから、CYP2B6の基質となる薬剤と併用した場合、本剤はそれらの血中濃度を上昇させる可能性がある。
本剤はP-糖蛋白(Pgp)、有機カチオントランスポーター(OCT)1及びOCT2に対して阻害作用を示したことから、Pgp、OCT1又はOCT2の基質となる薬剤と併用した場合、本剤はそれらの血中濃度を上昇させる可能性がある3)4)
薬物代謝酵素用語
CYP3A4
薬物代謝酵素用語
CYP3A5
薬物代謝酵素用語
CYP3A
薬物代謝酵素用語
CYP2B6
薬物代謝酵素用語
P-糖蛋白(Pgp)
薬物代謝酵素用語
有機カチオントランスポーター(OCT)1
薬物代謝酵素用語
有機カチオントランスポーター(OCT)2
10.1 併用禁忌
ロミタピド
(ジャクスタピッド)
2.2参照]
ロミタピドの血中濃度が著しく増加するおそれがある。本剤がCYP3Aの阻害剤であることから、ロミタピドの代謝が阻害される。
10.2 併用注意
CYP3Aの基質となる薬剤
ミダゾラム等
本剤反復投与時にミダゾラムを単回併用投与したとき、ミダゾラムのAUC及びCmaxはミダゾラムの単独投与と比べそれぞれ3.7倍及び2.0倍となった5)
併用薬の血中濃度が増加し、副作用の発現頻度及び重症度が増加するおそれがあるので、これらの薬剤との併用は可能な限り避けること。
本剤がCYP3Aの阻害剤であることから、CYP3Aの基質となる薬剤との併用により、併用薬の代謝が阻害され、併用薬の血中濃度が増加する可能性がある。
CYP3A阻害剤
イトラコナゾール等
本剤反復投与時にイトラコナゾールを併用投与したとき、本剤の定常状態におけるAUCtau及びCmaxは単独投与と比べそれぞれ57%及び33%増加した6)
本剤の血中濃度が増加し、副作用の発現頻度及び重症度が増加するおそれがあるので、CYP3A阻害作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮すること。また、併用する場合は、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。
本剤の代謝には主にCYP3Aが関与しているため、左記のようなCYP3A阻害剤との併用により、本剤の代謝が阻害され、本剤の血中濃度が増加する可能性がある。
CYP3A誘導剤
リファンピシン等
本剤反復投与時にリファンピシンを併用投与したとき、本剤の定常状態におけるAUCtau及びCmaxは単独投与と比べそれぞれ84%及び79%低下した7)
本剤の血中濃度が低下し、本剤の有効性が減弱するおそれがあるので、CYP3A誘導作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮すること。
本剤の代謝には主にCYP3Aが関与しているため、左記のようなCYP3A誘導剤との併用により、本剤の代謝が亢進し、本剤の血中濃度が低下する可能性がある。
QT間隔延長を起こすことが知られている薬剤
イミプラミン
ピモジド等
[7.、8.39.1.211.1.3参照]
QT間隔延長作用を増強するおそれがある。本剤及びこれらの薬剤はいずれもQT間隔を延長させるおそれがあるため、併用により作用が増強する可能性がある。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 間質性肺疾患(2.1%)
死亡に至った症例も報告されている。[1.2、7.、8.19.1.1参照]
11.1.2 劇症肝炎、肝不全、肝機能障害
劇症肝炎(頻度不明)、肝不全(0.2%)、ALT、AST、ビリルビン、Al-P等の上昇を伴う肝機能障害(33.9%)があらわれることがあり、劇症肝炎、肝不全により死亡に至った症例も報告されている。[1.3、7.、8.2参照]
11.1.3 QT間隔延長(3.2%)、徐脈(10.1%)
QT間隔延長、徐脈(随伴症状:低血圧、失神、めまい等)があらわれることがある。[7.、8.39.1.210.2参照]
11.1.4 血液障害
好中球減少症(21.2%)、白血球減少症(14.3%)、リンパ球減少症(4.5%)、血小板減少症(3.0%)等があらわれることがある。[8.4参照]
11.1.5 心不全(0.2%)
体液貯留(肺水腫、胸水、心嚢液貯留等)、急激な体重増加、心不全症状(息切れ、呼吸困難、浮腫等)が認められた場合には、休薬、減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 10%以上1%以上〜10%未満1%未満
視覚障害(視力障害、光視症、霧視、硝子体浮遊物、複視、羞明、視野欠損、視力低下等)(59.0%)  
神経系味覚異常(20.4%)、浮動性めまい(14.3%)、ニューロパチー(11.7%)頭痛、不眠症 
代謝食欲減退(20.2%)低アルブミン血症、低リン酸血症、低カリウム血症、脱水 
心血管系 血栓塞栓症 
呼吸器 咳嗽、肺炎 
皮膚発疹(11.1%)そう痒症、紅斑光線過敏症
筋骨格系 筋痙縮、関節腫脹 
消化器悪心(50.9%)、下痢(48.4%)、嘔吐(43.9%)、便秘(32.2%)、腹痛(上腹部痛、腹部不快感等)(12.6%)食道障害(食道炎、食道潰瘍等)、消化不良、腹部膨満、口内乾燥 
腎臓 血中クレアチニン増加、複雑性腎嚢胞腎機能障害、腎膿瘍
その他浮腫(末梢性浮腫、顔面浮腫、眼窩周囲浮腫等)(34.8%)、疲労(26.8%)発熱、血中テストステロン減少 

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

15. その他の注意

15.2 非臨床試験に基づく情報
15.2.1 ラットにクリゾチニブ150mg/kg/日(AUCに基づく臨床曝露量の約3倍)を反復投与したところ、成長中の長骨において骨形成の低下が認められた8)
15.2.2 ラットを用いた反復投与毒性試験において、精巣パキテン期精母細胞の軽微な変性及び卵巣における軽微な単細胞壊死が認められた8)
15.2.3 遺伝毒性試験成績から、本剤は異数性誘発作用が認められるものの、変異原性又は染色体構造異常誘発性は示さないと考えられる9)

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与(健康成人被験者)
日本人健康成人男性(各投与群6例)に本剤150注)、250及び400mg注)を単回経口投与したとき、最高血漿中濃度(Cmax)は、73.5、164及び243ng/mL、血漿中クリゾチニブ濃度−時間曲線下面積(AUC)は、1482、4020及び6817ng・hr/mLであった。Cmax及びAUCは、150及び250mgでは用量に比例する以上に増加する傾向を示し、250及び400mgでは用量に比例して増加した。最高血漿中濃度到達時間(tmax)は用量間で概ね5時間(中央値)であり、終末相における消失半減期(平均値)は29.1〜41.1時間であった10)
表1.健康成人男性を対象としてクリゾチニブを単回経口投与後の薬物動態パラメータの要約
投与量Ntmaxa)(hr)Cmax(ng/mL)AUC0-∞(ng・hr/mL)t1/2(hr)
150mg注)65.00(5.00,6.00)73.5(26)1482(472)41.1(6.8)
250mg65.00(4.00,6.00)164(51)4020(1313)29.9(4.0)
400mg注)65.00(5.00,6.00)243(61)6817(2098)29.1(3.6)
図1.健康成人を対象としてクリゾチニブを単回経口投与後の血漿中濃度推移(平均+標準偏差)
16.1.2 単回及び反復投与(癌患者)
ALK融合遺伝子陽性の進行非小細胞肺癌患者を対象とした第I相試験において日本人癌患者(n=15)に本剤250mgを単回及び1日2回反復経口投与したときの薬物動態パラメータを以下に示した。血漿中クリゾチニブ濃度は本剤250mg1日2回反復投与後15日目までに定常状態に達すると考えられた。なお、本剤反復投与時に得られた見かけの経口クリアランス(平均値)は54.7L/hrであり、単回経口投与時に得られた値(89.3L/hr)と比べ低下した11)
表2.癌患者を対象としてクリゾチニブを単回及び反復経口投与後の薬物動態パラメータの要約
 Ntmaxa)(hr)Cmax(ng/mL)AUCτ(ng・hr/mL)AUC0-∞(ng・hr/mL)t1/2(hr)
単回56.00(4.00,8.02)131(33)955(348)3180(1398)39.5(5.9)
反復54.00(0.00,6.05)493(106)4608(467)NCNC
16.2 吸収
16.2.1 バイオアベイラビリティ
健康成人14例に本剤250mgを単回経口投与及び50mgを単回静脈内投与注)したときの絶対的バイオアベイラビリティは約43%と推定された12)(外国人データ)。
16.2.2 食事の影響
健康成人36例に本剤250mgを食後(高脂肪、高カロリー食)単回経口投与したとき、AUC0-∞及びCmaxは空腹時投与に比べそれぞれ14%減少した13)(外国人データ)。
16.3 分布
本剤50mgを静脈内投与注)したときの定常状態の分布容積は、1772Lであった12)(外国人データ)。
In vitroにおけるヒト血漿蛋白結合率は91%で、蛋白結合率に対する薬物濃度の影響は認められなかった14)
In vitro試験から、本剤はP-糖蛋白(Pgp)基質であることが示唆された14)
16.4 代謝
In vitro試験から、CYP3A4/5が本剤の主な薬物代謝酵素であることが示唆された15)
ヒトにおける主な代謝経路は、ピペリジン環の酸化によるクリゾチニブラクタム生成、並びにO-脱アルキル化とそれに続く第2相反応(O-脱アルキル化代謝物の抱合化)であった16)
16.5 排泄
健康被験者6例に14C-標識クリゾチニブ250mgを単回投与したとき、投与480時間までに、投与放射能の63%が糞中、22%が尿中に排泄された。また、糞及び尿中に排泄されたクリゾチニブの未変化体は、それぞれ投与量の53%及び2.3%であった16)(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
重度の腎機能障害を伴う被験者(クレアチニンクリアランスが30mL/分未満)に本剤250mgを単回経口投与したときのCmax及びAUCは、腎機能正常被験者(クレアチニンクリアランスが90mL/分以上)と比べてそれぞれ1.3倍及び1.8倍大きかった17)(外国人データ)。[9.2.1参照]
16.6.2 肝機能障害患者
NCI-ODWG基準により分類した肝機能の異なる進行癌患者に本剤を反復経口投与したときの定常状態における総クリゾチニブ及び蛋白非結合型クリゾチニブの薬物動態パラメータの要約を表3に示した18)(外国人データ)。[9.3.1参照]
表3.肝機能の異なる進行癌患者にクリゾチニブを反復経口投与したときの定常状態における総クリゾチニブ及び蛋白非結合型クリゾチニブの薬物動態パラメータの要約a)
パラメータ(単位)A1群A2群B群C群D群
総クリゾチニブの薬物動態パラメータ
Cmax(ng/mL)375.1
(50)
283.9
(65)
342.1
(68)
408.3
(56)
272.4
(29)
AUCdaily(ng・hr/mL)7107
(48)
5422
(66)
6476
(73)
8108
(58)
4596
(63)
tmax(hr)4.0
(0.98-4.0)
4.0
(1.0-6.0)
4.0
(1.7-11)
3.0
(2.0-6.0)
4.0
(2.0-6.1)
CL/F(L/hr)70.39
(48)
73.79
(66)
77.21
(73)
49.26
(58)
54.36
(63)
蛋白非結合型クリゾチニブの薬物動態パラメータ
Cmax,u(ng/mL)13.59
(41)
8.703
(74)
14.77
(93)
16.96
(56)
9.608
(34)
AUCdaily,u(ng・hr/mL)257.7
(38)
166.1
(73)
279.4
(95)
337.0
(59)
161.9
(48)
CL/F,u(L/hr)1940
(38)
2407
(73)
1791
(95)
1188
(59)
1542
(47)
注:本剤の承認用法用量は250mg1日2回経口投与である。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌>
17.1.1 国際共同第III相試験(A8081014試験)
前治療歴のないALK融合遺伝子陽性注)の非扁平非小細胞肺癌患者343例(うち日本人患者32例)に、本剤又は化学療法剤(シスプラチン、ペメトレキセド併用又はカルボプラチン、ペメトレキセド併用)を投与した結果を下表及び下図に示す。本剤は主要評価項目である無増悪生存期間において、化学療法剤に対して優越性を示した(独立判定委員会による評価)。
注:ALK融合遺伝子は、ALK Break apart FISH法を用いて検査された。
表1.無増悪生存期間
評価項目クリゾチニブ群(n=172)化学療法群(n=171)ハザード比p値
無増悪生存期間の中央値(月)(95%信頼区間)10.9(8.3-13.9)7.0(6.8-8.2)0.454(0.346-0.596)<0.0001注)
図1.主要評価項目(無増悪生存期間)のKaplan-Meier曲線
本剤が投与された171例に認められた主な有害事象は、視覚障害122例(71%)、下痢105例(61%)、浮腫83例(49%)、嘔吐78例(46%)、便秘74例(43%)等であった19)
17.1.2 国際共同第III相試験(A8081007試験)
1レジメンの化学療法歴を有するALK融合遺伝子陽性注)の非小細胞肺癌患者347例(うち日本人患者69例)に、本剤又は化学療法剤(ペメトレキセド又はドセタキセル)を投与した結果を下表及び下図に示す。本剤は主要評価項目である無増悪生存期間において、化学療法剤に対して優越性を示した(独立判定委員会による評価)。
注:ALK融合遺伝子は、ALK Break apart FISH法を用いて検査された。
表2.無増悪生存期間
評価項目クリゾチニブ群(n=173)化学療法群(n=174)ハザード比p値
無増悪生存期間の中央値(月)(95%信頼区間)7.7(6.0-8.8)3.0(2.6-4.3)0.49(0.37-0.64)<0.0001注)
図2.主要評価項目(無増悪生存期間)のKaplan-Meier曲線
本剤が投与された172例に認められた主な有害事象は、視覚障害103例(60%)、下痢103例(60%)、悪心94例(55%)、嘔吐80例(47%)、便秘73例(42%)等であった20)21)
17.1.3 国際共同第II相試験(A8081005試験)
日本が参加した本試験において、1レジメン以上の化学療法歴を有するALK融合遺伝子陽性注1)の進行非小細胞肺癌患者136例注2)(うち日本人患者6例)に本剤を1回250mg、1日2回連日投与した結果、治験医師判定による奏効率(RECIST)は51%(95%信頼区間:42%、60%)であった(2011年2月時点までの中間集計)。
注1:ALK融合遺伝子は、ALK Break apart FISH法を用いて検査された。
注2:3例は有効性評価対象集団から除外された。
本剤が投与された136例(日本人6例を含む)中131例(96.3%)に副作用が認められた。主な副作用は、悪心78例(57.4%)、嘔吐59例(43.4%)、下痢58例(42.6%)、視力障害58例(42.6%)、便秘37例(27.2%)等であった(2011年2月時点までの中間集計)22)
17.1.4 海外第I相試験(A8081001試験)
用量漸増コホートで決定された本剤の推奨用量における有効性及び安全性を検討する目的で試験開始後に追加された推奨用量コホートにおいて、ALK融合遺伝子陽性注1)の進行非小細胞肺癌患者119例注2)(うち日本人患者15例)に、本剤を1回250mg、1日2回連日投与した。その結果、治験医師判定による奏効率(RECIST)は61%(95%信頼区間:52%、70%)であった(2010年9月時点までの中間集計)。
注1:ALK融合遺伝子は、複数の臨床試験用分析法を用いて検査された。
注2:3例は有効性評価対象集団から除外された。
本剤が投与された119例(日本人15例を含む)中114例(95.8%)に副作用が認められた。主な副作用は、悪心58例(48.7%)、視力障害57例(47.9%)、下痢51例(42.9%)、嘔吐42例(35.3%)、便秘32例(26.9%)等であった(2010年9月時点までの中間集計)23)
ROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌>
17.1.5 国際共同第II相試験(OO12-01試験)
ROS1融合遺伝子陽性注)の進行非小細胞肺癌患者127例(うち日本人患者26例)に本剤を投与した結果、主要評価項目である独立判定委員会による奏効率(RECIST)は69%(95%信頼区間:61%、77%)であった(2015年7月時点までの集計)。
注:ROS1融合遺伝子は、コンパニオン診断薬として製造販売承認されているOncoGuide AmoyDx ROS1融合遺伝子検出キットを用いて検査された。
本剤が投与された127例(日本人26例を含む)中121例(95.3%)に副作用が認められた。主な副作用は、トランスアミナーゼ増加67例(52.8%)、視覚障害59例(46.5%)、悪心52例(40.9%)、下痢47例(37.0%)、嘔吐41例(32.3%)等であった(2015年7月時点までの集計)24)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
クリゾチニブはALK、肝細胞増殖因子受容体(c-Met/HGFR)、ROS1及びRecepteur d'Origine Nantais(RON)に対するチロシンキナーゼ阻害剤である。クリゾチニブは、ALK及びROS1の発がん性変異体であるALK融合蛋白質及びROS1融合蛋白質のチロシンキナーゼ活性を阻害することにより、腫瘍の増殖を抑制すると考えられている25)26)
18.2 抗腫瘍効果
クリゾチニブは、ALK遺伝子座の転座/逆位により、ALK融合蛋白質を発現するヒト非小細胞肺癌由来NCI-H3122及びNCI-H2228細胞株、並びにROS1遺伝子座の転座により、ROS1融合蛋白質を発現するヒト非小細胞肺癌由来HCC78細胞株の増殖を抑制した。また、NCI-H3122細胞株を移植した免疫不全マウスにおいて、腫瘍の増殖を抑制した25)26)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. クリゾチニブ

一般的名称 クリゾチニブ
一般的名称(欧名) Crizotinib
化学名 3-[(1R)-1-(2,6-Dichloro-3-fluorophenyl)ethoxy]-5-[1-(piperidin-4-yl)-1H-pyrazol-4-yl]pyridin-2-amine
分子式 C21H22Cl2FN5O
分子量 450.34
物理化学的性状 本品は白色〜微黄色の粉末である。N,N-ジメチルアセトアミドにやや溶けやすく、メタノール及びエタノール(95)にやや溶けにくく、アセトニトリルに溶けにくく、水にほとんど溶けない。本品は0.1mol/L塩酸試液に溶ける。
分配係数 (log D):1.65(pH7.4、1-オクタノール/水)
KEGG DRUG D09731

21. 承認条件

医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

22. 包装

<ザーコリカプセル200mg>
10カプセル[10カプセル(PTP)×1]
<ザーコリカプセル250mg>
10カプセル[10カプセル(PTP)×1]

23. 主要文献

  1. 社内資料:胚・胎児発生に関する試験(2012年3月30日承認、CTD2.6.6.6)
  2. 社内資料:チトクロームP450に対する阻害作用(2012年3月30日承認、CTD2.6.4.7)
  3. 社内資料:排出トランスポーターに対する阻害作用(2012年3月30日承認、CTD2.6.4.7)
  4. 社内資料:有機イオントランスポーターを介した薬物相互作用のin vitro評価
  5. 社内資料:ミダゾラムとの薬物相互作用(2012年3月30日承認、CTD2.7.2.2)
  6. 社内資料:イトラコナゾールとの薬物相互作用
  7. 社内資料:リファンピシンとの薬物相互作用(2012年3月30日承認、CTD2.7.2.2)
  8. 社内資料:ラットにおける反復投与毒性試験(2012年3月30日承認、CTD2.6.6.3)
  9. 社内資料:遺伝毒性試験(2012年3月30日承認、CTD2.6.6.4)
  10. 社内資料:日本人健康成人における薬物動態(単回投与)(2012年3月30日承認、CTD2.7.2.2)
  11. 社内資料:日本人癌患者における薬物動態(単回投与・反復投与)(2012年3月30日承認、CTD5.3.5.2)
  12. 社内資料:バイオアベイラビリティ(2012年3月30日承認、CTD2.7.1.2)
  13. 社内資料:食事の影響(2012年3月30日承認、CTD2.7.1.2)
  14. 社内資料:分布に関与する非臨床パラメータ(2012年3月30日承認、CTD2.6.4.4)
  15. 社内資料:代謝酵素(2012年3月30日承認、CTD2.6.4.5)
  16. 社内資料:代謝・排泄経路(2012年3月30日承認、CTD2.7.2.2)
  17. 社内資料:腎機能障害を伴う被験者における薬物動態
  18. 社内資料:肝機能障害を伴う被験者における薬物動態
  19. Solomon BJ,et al., N Engl J Med., 371 (23), 2167-2177, (2014) »PubMed »J-STAGE
  20. 社内資料:国際共同第III相試験(A8081007試験)
  21. Shaw AT,et al., N Engl J Med., 368 (25), 2385-2394, (2013) »PubMed »J-STAGE
  22. 社内資料:国際共同第II相試験(A8081005試験)(2012年3月30日承認、CTD2.7.3.3、2.7.4.6)
  23. 社内資料:海外第I相試験(A8081001試験)(2012年3月30日承認、CTD2.7.3.2、2.7.4.2)
  24. 社内資料:国際共同第II相試験(OO12-01試験)(2017年5月18日承認、CTD2.7.6.1)
  25. 社内資料:非臨床薬理試験(in vivo)(2012年3月30日承認、CTD2.6.2.2)
  26. 社内資料:非臨床薬理試験(in vitro)(2012年3月30日承認、CTD2.6.2.2)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
ファイザー株式会社 製品情報センター
〒151-8589 東京都渋谷区代々木3-22-7
電話:学術情報ダイヤル 0120-664-467
FAX:03-3379-3053
製品情報問い合わせ先
ファイザー株式会社 製品情報センター
〒151-8589 東京都渋谷区代々木3-22-7
電話:学術情報ダイヤル 0120-664-467
FAX:03-3379-3053

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
ファイザー株式会社
東京都渋谷区代々木3-22-7

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2022/11/24 版