医療用医薬品 : アスコルビン酸

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医薬品情報


総称名 アスコルビン酸
一般名 アスコルビン酸
欧文一般名 Ascorbic Acid
薬効分類名 ビタミンC製剤
薬効分類番号 3140
ATCコード A11GA01
KEGG DRUG
D00018 アスコルビン酸
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2023年10月 改訂(第2版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
アスコルビン酸注100mg「NP」 ニプロ 3140400A2219 100円/管 処方箋医薬品注)
アスコルビン酸注500mg「NP」 ニプロ 3140400A4203 100円/管 処方箋医薬品注)
アスコルビン酸注1g「NP」 ニプロ 3140400A5072 117円/管 処方箋医薬品注)

4. 効能または効果

(1)ビタミンC欠乏症の予防及び治療(壊血病、メルレル・バロー病)
(2)ビタミンCの需要が増大し、食事からの摂取が不十分な際の補給(消耗性疾患、妊産婦、授乳婦、はげしい肉体労働時など)
(3)下記疾患のうち、ビタミンCの欠乏または代謝障害が関与すると推定される場合
・毛細管出血(鼻出血、歯肉出血、血尿など)
・薬物中毒
・副腎皮質機能障害
・骨折時の骨基質形成・骨癒合促進
・肝斑・雀卵斑・炎症後の色素沈着
・光線過敏性皮膚炎
(3)の適応に対して、効果がないのに月余にわたって漫然と使用すべきでない。

6. 用法及び用量

<アスコルビン酸注100mg「NP」>
アスコルビン酸として、通常、成人1日50〜2,000mgを1〜数回に分けて皮下、筋肉内または静脈内注射する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
<アスコルビン酸注500mg「NP」>
アスコルビン酸として、通常、成人1日50〜2,000mgを1〜数回に分けて静脈内注射する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
<アスコルビン酸注1g「NP」>
アスコルビン酸として、通常、成人1日50〜2,000mgを1〜数回に分けて静脈内注射する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.7 小児等
<製剤共通>
9.7.1 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
<100mg製剤>
9.7.2 低出生体重児、新生児に使用する場合には十分注意すること。外国において、ベンジルアルコールの静脈内大量投与(99〜234mg/kg)により、中毒症状(あえぎ呼吸、アシドーシス、痙攣等)が低出生体重児に発現したとの報告がある。本剤は添加剤としてベンジルアルコールを含有している。

12. 臨床検査結果に及ぼす影響

12.1 各種の尿糖検査で、尿糖の検出を妨害することがある。
12.2 各種の尿検査(潜血、ビリルビン、亜硝酸塩)・便潜血反応検査で、偽陰性を呈することがある。

14. 適用上の注意

14.1 薬剤投与時の注意
14.1.1 投与経路
<製剤共通>
(1)経口投与が困難な場合や緊急の場合、また、経口投与で効果が不十分と考えられる場合にのみ使用すること。また、投与経路は静脈内注射を原則とすること。なお、経口投与が可能で効果が十分と判断された場合には、速やかに経口投与にきりかえること。
<500mg製剤、1g製剤>
(2)静脈内注射にのみ使用すること。
14.1.2 静脈内注射時
血管痛があらわれることがあるので、注射速度はできるだけ遅くすること。
14.1.3 筋肉内注射時
組織・神経等への影響を避けるため、以下の点に注意すること。
・筋肉内注射はやむを得ない場合にのみ、必要最小限に行うこと。なお、同一部位への反復注射は行わないこと。また、低出生体重児、新生児、乳児、幼児、小児には特に注意すること。
・神経走行部位を避けるよう注意すること。
・注射針を刺入したとき、激痛を訴えたり、血液の逆流をみた場合は、直ちに針を抜き、部位をかえて注射すること。
14.1.4 皮下・筋肉内注射時
注射部位に疼痛があらわれることがある。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
アスコルビン酸(AsA)は平面的なγ-ラクトン環をもつアシ−レダクトンの一つであり、この化合物のもつ還元力(抗酸化力)は炭素2位および3位のエンジオール基[-C(OH)=C(OH)-]に起因している。
AsAの生理機能の発現には、AsA、モノデヒドロアスコルビン酸(MDAsA)、およびデヒドロアスコルビン酸(DAsA)からなる酸化還元系が重要な鍵となる。AsAが効率的に機能するために、その酸化生成物を再還元する必要がある1)
18.2 結合織に対する作用
アスコルビン酸は、結合織の主成分であるコラーゲンの生成に関与しており、アスコルビン酸の欠乏は、皮膚、骨、歯、血管等の脆弱化をもたらす2)。すなわち、アスコルビン酸はコラーゲン中のprolineからhydroxyprolineへの水酸化過程に関与し3)in vitro)、アスコルビン酸の投与によりコラーゲンの増加がみられる4)(モルモット)。
また、アスコルビン酸は骨形成を進行させ、モルモット実験的骨折の修復機転において治癒的に作用する5)6)
18.3 毛細血管、血液に対する作用
アスコルビン酸は毛細血管抵抗を増強し7)(シロネズミ)、出血傾向を改善する8)(モルモット)。
18.4 薬物中毒に対する作用
アルコール中毒患者では、血中アスコルビン酸濃度が低値を示すものが多く、アスコルビン酸の欠乏が起こるとされている9)。アルコール中毒患者へのアスコルビン酸投与は、低下した尿中アスコルビン酸排泄量を回復させ10)、血中アルコール濃度の上昇を一時的に抑制する11)
また、ニコチンは副腎皮質を刺激し、副腎皮質ホルモンの分泌を促してアスコルビン酸の消費を増大させる9)
18.5 副腎皮質機能に対する作用
アスコルビン酸は副腎皮質に多量に存在し、ステロイドホルモンの生合成促進又は異化抑制に関与するとされている7)
18.6 メラニン色素生成に対する作用
アスコルビン酸は、チロシンからのメラニン生成過程の中で、DOPAからDOPAキノンへの酸化過程を阻害し、メラニン色素の生成を抑制する12)in vitro)。

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. アスコルビン酸

一般的名称 アスコルビン酸
一般的名称(欧名) Ascorbic Acid
化学名 L-threo-Hex-2-enono-1,4-lactone
分子式 C6H8O6
分子量 176.12
融点 約190℃(分解)。
物理化学的性状 ・白色の結晶又は結晶性の粉末で、においはなく、酸味がある。
・水に溶けやすく、エタノール(95)にやや溶けにくく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。
KEGG DRUG D00018

20. 取扱い上の注意

外箱開封後は遮光して保存すること。

22. 包装

<アスコルビン酸注100mg「NP」>
1mL×50管[アンプル]
1mL×100管[アンプル]
<アスコルビン酸注500mg「NP」>
2mL×50管[アンプル]
2mL×100管[アンプル]
<アスコルビン酸注1g「NP」>
5mL×50管[アンプル]

23. 主要文献

  1. 日本ビタミン学会編, ビタミンの事典, 1996, 366-367, (朝倉書店)
  2. 第十八改正日本薬局方解説書, C-95-C-100, (2021)
  3. Levene C.I.et al., Biochim.Biophys.Acta., 257, 384-388, (1972)
  4. Gould B.S.et al., Ann.New York Acad.Sci., 85, 385-398, (1960)
  5. Fullmer H.M.et al., Ann.New York Acad.Sci., 92, 286-294, (1961)
  6. 梶原 章, 最新医学, 17, 1429-1446, (1962)
  7. 藤田和典 他, 日本皮膚科学会雑誌, 73, 580-589, (1963) »DOI
  8. Lee R.E., J.Nutr., 72, 203-209, (1960) »PubMed
  9. 田多井吉之介, 日本医事新報, 2190, 161-162, (1966)
  10. Lester D.et al., J.Nutr., 70, 278-282, (1960)
  11. 飯島泰彦, 精神神経学雑誌, 62, 862-875, (1960)
  12. 竹内 勝 他, ビタミン, 28, 501-507, (1963) »DOI

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
ニプロ株式会社 医薬品情報室
〒566-8510 大阪府摂津市千里丘新町3番26号
電話:0120-226-898
FAX:050-3535-8939
製品情報問い合わせ先
ニプロ株式会社 医薬品情報室
〒566-8510 大阪府摂津市千里丘新町3番26号
電話:0120-226-898
FAX:050-3535-8939

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
ニプロ株式会社
大阪府摂津市千里丘新町3番26号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/07/23 版