1.1 本剤の投与により、重篤な感染症により致死的な経過をたどることがあるので、緊急時に十分に措置できる医療施設で、本剤についての十分な知識をもつ医師のもとで使用すること。[
8.1、
11.1.1参照]
1.2 本剤の投与はループス腎炎の治療に十分精通している医師のもとで行うこと。
5.1 本剤投与により腎機能が悪化するおそれがあることから、eGFRが45mL/min/1.73m
2以下の患者では、投与の必要性を慎重に判断し、eGFRが30mL/min/1.73m
2未満の患者では可能な限り投与を避けること。eGFRが45mL/min/1.73m
2以下の患者を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。[
7.2、
7.5、
8.2、
9.2.1、
9.2.2参照]
5.2 「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の臨床試験の投与対象、有効性及び安全性を十分に理解した上で、診療ガイドライン等の最新の情報を参考に、本剤の投与が適切と判断される患者に投与すること。[
17.1.1参照]
通常、成人にはボクロスポリンとして1回23.7mgを1日2回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
7.1 本剤の投与開始時は、原則として、副腎皮質ステロイド剤及びミコフェノール酸 モフェチルを併用すること。[
17.1.1参照]
7.2 重度の腎機能障害患者(eGFR 30mL/min/1.73m
2未満)への投与は可能な限り避け、やむを得ず投与する場合は、1回15.8mgを1日2回投与すること。[
5.1、
8.2、
9.2.1、
11.1.2、
16.6.1参照]
7.3 軽度又は中等度の肝機能障害患者(Child-Pugh分類A及びChild-Pugh分類B)では、1回15.8mgを1日2回投与すること。[
9.3.2、
16.6.2参照]
7.4 中程度のCYP3A4阻害作用を有する薬剤と併用する場合、1日量を23.7mg(朝15.8mg、夜7.9mg)とすること。[
10.2、
16.7.3参照]
7.5 腎機能が悪化した場合、以下を目安に、本剤を減量又は中止すること。[
5.1、
8.2、
9.2.1、
9.2.2、
11.1.2、
16.6.1参照]
・eGFRが60mL/min/1.73m2未満で、投与開始時から20%超低下した場合、1回7.9mg(1日量として15.8mg)を減量すること。減量後は、2週間以内にeGFR値を確認し、20%超の低下が持続する場合は、さらに1回7.9mg(1日量として15.8mg)を減量すること。
・eGFRが60mL/min/1.73m2未満で、投与開始時から30%超低下した場合、本剤の投与を中止すること。
7.6 血圧が上昇し、降圧剤等による適切な治療を行っても十分にコントロールできない場合は、本剤の投与を中止すること。[
8.3参照]
7.7 投与開始後6箇月以内に治療の効果を確認し、投与継続の要否を検討すること。
8.1 日和見感染を含む感染症が発現又は悪化することがあるので、十分注意すること。[
1.1、
11.1.1参照]
8.3 血圧が上昇することがあるため、定期的に血圧を確認し、血圧が上昇した場合は降圧剤等による適切な治療を行うこと。[
7.6参照]
8.4 痙攣発作、振戦、可逆性後白質脳症症候群(PRES)等の神経症状があらわれるおそれがあるため、本剤投与中は定期的に患者の状態を観察し、症状が認められた場合には本剤を減量又は中止すること。
8.5 本剤を含むカルシニューリン阻害薬による、重篤な高カリウム血症が報告されているため、本剤投与中は血清カリウム濃度を定期的に測定すること。[
10.2参照]
8.6 カルシニューリン阻害薬による、高血糖が報告されているため、本剤投与中は定期的に血糖値等を確認すること。
8.7 過度の免疫抑制により、リンパ腫及び他の悪性腫瘍が発現するおそれがあるので、十分注意すること。[
15.1.1参照]
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 QT延長のおそれ又はその既往歴のある患者
低カリウム血症等のQT延長のリスク因子を有する患者においてQT延長が起こるおそれがある。[
10.2参照]
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 重度の腎機能障害(eGFR 30mL/min/1.73m2未満)のある患者
可能な限り投与を避けること。血中濃度が上昇するおそれがあるため、やむを得ず投与する場合には、用量を減量するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること。重度の腎機能障害のあるループス腎炎患者を対象とした臨床試験は実施していない。[
5.1、
7.2、
7.5、
8.2、
11.1.2、
16.6.1参照]
9.2.2 中等度の腎機能障害(eGFR 30mL/min/1.73m2以上45mL/min/1.73m2以下)のある患者
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重度の肝機能障害のある患者(Child-Pugh分類C)
可能な限り投与を避けること。血中濃度が上昇するおそれがある。重度の肝機能障害のある患者を対象とした臨床試験は実施していない。
9.3.2 軽度及び中等度の肝機能障害のある患者(Child-Pugh分類A及びB)
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験では、妊娠ラットに経口投与した場合、体表面積換算で臨床用量
注)の約5倍(4mg/kg/日)で胎児体重の低値及び胎児の骨化遅延が認められた。また、妊娠ウサギに経口投与した場合、体表面積換算で臨床用量
注)の約2倍(1.6mg/kg/日)で胎児体重の低値が、約8.2倍(6.5mg/kg/日)で胎児の胸骨未骨化等が認められた
1)。
注)本剤7.9mgを60kgの患者に1回23.7mgを1日2回経口投与したときの投与量(0.79mg/kg/日)
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒトで乳汁中への移行が報告されている
2)。
9.7 小児等
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 重篤な感染症(10.1%)
肺炎(4.1%)、胃腸炎(1.5%)、尿路感染(1.1%)を含む感染症があらわれ、致死的な経過をたどることがある。[
1.1、
8.1参照]
海外第II相及び国際共同第III相試験に基づく。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 10%以上 | 10%未満 |
感染症 | 上気道感染(24.0%) | インフルエンザ、帯状疱疹 |
血液 | 貧血 | |
代謝 | | 高カリウム血症、食欲減退 |
精神神経系 | 頭痛 | 痙攣発作、振戦 |
循環器 | 高血圧(20.6%) | |
呼吸器 | 咳嗽 | |
消化器 | 下痢、腹痛 | 悪心、歯肉増殖、消化不良 |
皮膚 | | 脱毛症、多毛症 |
腎および尿路 | 糸球体濾過率減少(26.2%) | |
13.1 症状
本剤の過量投与の報告は限られているが、過量投与により、振戦、頻脈が現れたとの報告がある。
13.2 処置
14.1 薬剤交付時の注意
14.1.1 PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
14.1.2 服用直前にPTPシートからカプセルを取り出すよう指導すること。[
20.参照]
14.1.3 本剤はカプセルを開けたり、つぶしたり、分割せずそのまま水で服用するよう指導すること。
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人にボクロスポリン23.7mgを絶食時及び食後に単回経口投与した時の血中濃度推移及び薬物動態パラメータを図16-1及び表16-1に示す
4)。
図16-1 健康成人におけるボクロスポリン単回経口投与時の血中濃度推移
表16-1 ボクロスポリン単回経口投与時の薬物動態パラメータ
食事条件 | 例数 | tmax(h) | Cmax(ng/mL) | AUC∞(ng・h/mL) | t1/2(h) |
絶食時 | 16 | 1.50(1.00〜2.50) | 115±19.9 | 455±110a | 13.1±4.6a |
食後 | 16 | 2.00(1.50〜4.00) | 110±33.4 | 522±179 | 14.2±6.8 |
16.1.2 反復投与
健康成人にボクロスポリン0.25mg/kg
注)(平均体重を基に換算すると17.1mg)、0.5mg/kg
注)(平均体重を基に換算すると35.2mg)、1.0mg/kg
注)(平均体重を基に換算すると70.6mg)又は1.5mg/kg
注)(平均体重を基に換算すると95.9mg)を1日目の朝に空腹時単回経口投与後、3日目から12日目までの10日間1日2回(朝夜、約12時間ごと)空腹時反復経口投与した後13日目の朝に空腹時単回経口投与した時、ボクロスポリンの血中濃度は6日間投与後に定常状態に達した。薬物動態パラメータを表16-2に示す
5)。
表16-2 ボクロスポリン反復経口投与時(13日目)の薬物動態パラメータ
投与量 | 例数 | tmax(h) | Cmax(ng/mL) | AUC24hb(ng・h/mL) | t1/2(h) |
17.1mg (0.25mg/kg) | 8 | 1.57(1.08〜2.13) | 70.3±19.6 | 372±104 | 27.1±4.27 |
35.2mg (0.5mg/kg) | 8 | 1.56(1.08〜4.07) | 160±56.7 | 921±399 | 29.6±4.58a |
70.6mg (1.0mg/kg) | 8 | 2.12(1.57〜2.55) | 416±46.7 | 2,510±317 | 29.9±4.00 |
95.9mg (1.5mg/kg) | 8 | 2.00(1.50〜3.00) | 619±82.5 | 4,390±945 | 30.6±3.81a |
16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
健康成人にボクロスポリン23.7mgを単回経口投与した時、絶食時投与に比べ食後(高脂肪食)投与ではCmax及びAUCはそれぞれ0.91倍及び1.14倍であった
4)。
16.3 分布
ヒト血漿蛋白結合率は、96.97%であった
6)(
in vitro、平衡透析法)。
16.4 代謝
ボクロスポリンは主としてCYP3A4で代謝される
7)(
in vitro)。[
10.参照]
16.5 排泄
健康成人に
14C標識ボクロスポリン70mg
注)を単回経口投与した時、糞中及び尿中にそれぞれ投与した放射能の92.7%及び2.1%が排泄された。未変化体の糞中及び尿中への排泄率はそれぞれ5%及び0.25%であった
8)(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
腎機能の程度の異なる被験者(クレアチニンクリアランス60mL/min〜89mL/min及びクレアチニンクリアランス30mL/min〜59mL/min)にボクロスポリン0.4mg/kg
注)を単回又は1日2回反復経口投与した時のCmax及びAUCは正常な腎機能を有する被験者と同程度であった。クレアチニンクリアランス<30mL/minの被験者にボクロスポリン0.4mg/kgを単回経口投与した時、ボクロスポリンのCmax及びAUCは正常な腎機能を有する被験者と比較してそれぞれ1.46倍及び1.74倍であった
9)(外国人データ)。[
7.2、
7.5、
9.2.1、
9.2.2、
11.1.2参照]
16.6.2 肝機能障害患者
肝機能の程度の異なる被験者(Child-Pugh分類A又はB)にボクロスポリン0.4mg/kg
注)を単回経口投与した時、正常な肝機能を有する被験者と比較してボクロスポリンのCmaxはいずれも1.45倍、AUCはそれぞれ1.67倍及び1.96倍であった
10)(外国人データ)。[
7.3、
9.3.2参照]
16.6.3 性別
ループス腎炎患者においてボクロスポリンの薬物動態に性別による臨床的に意味のある影響は認められなかった
11)(外国人データを含む母集団解析)。
16.7 薬物相互作用
16.7.1 ケトコナゾール
健康成人において、強いCYP3A4阻害作用を有する経口ケトコナゾール400mgとボクロスポリン0.4mg/kg
注)1日2回投与の併用により、ボクロスポリンのCmax及びAUCは単独投与時と比較してそれぞれ6.45倍及び18.55倍であった
12)(外国人データ)。[
10.1参照]
16.7.2 リファンピシン
健康成人において、強いCYP3A4誘導作用を有するリファンピシン600mgとボクロスポリン0.4mg/kg
注)単回投与の併用により、ボクロスポリンのAUCは単独投与時と比較して1/8であった
13)(外国人データ)。[
10.2参照]
16.7.3 ベラパミル
健康成人において、強いP糖蛋白阻害作用及び中程度のCYP3A4阻害作用を有するベラパミル80mgとボクロスポリン0.4mg/kg
注)1日2回投与の併用により、ボクロスポリンのCmax及びAUCは単独投与時と比較してそれぞれ2.08倍及び2.71倍であった
14)(外国人データ)。[
7.4、
10.2参照]
16.7.4 ジゴキシン
健康成人において、P糖蛋白基質であるジゴキシン0.25mg(初回投与のみ0.5mg)とボクロスポリン0.4mg/kg
注)1日2回投与の併用により、ジゴキシンのCmax及びAUCは単独投与時と比較してそれぞれ1.51倍及び1.25倍であった
15)(外国人データ)。[
10.2参照]
16.7.5 シンバスタチン
健康成人において、シンバスタチン40mgとボクロスポリン23.7mg1日2回の併用投与により、活性代謝物でありOATP1B1/3基質であるシンバスタチン酸のCmax及びAUCは単独投与時と比較してそれぞれ3.10倍及び1.84倍であった。また、単独投与時と比較して乳癌耐性蛋白(BCRP)基質であるシンバスタチンのCmaxは1.60倍であったが、AUCは0.94倍であり同程度であった
16)(外国人データ)。[
10.2参照]
16.7.6 その他
・全身性エリテマトーデス患者において、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)1gとボクロスポリン23.7mg1日2回の併用投与は、ミコフェノール酸(MPA)血中濃度に臨床的に有意な影響を及ぼさなかった
17)(外国人データ)。
・健康成人において、ボクロスポリン0.4mg/kg
注)1日2回とCYP3A4基質であるミダゾラム7.5mgの併用投与は、ミダゾラムのCmax及びAUCに顕著な影響を与えず、それぞれ単独投与時と比較して約0.89倍及び1.02倍であった
18)(外国人データ)。
・ボクロスポリンはP糖蛋白の基質であることが示されている
19)。また、ボクロスポリンはP糖蛋白、BCRP、OATP1B1及びOATP1B3に対して阻害作用を示した
20)(
in vitro)。[
10.参照]
注)本剤の承認された用法及び用量は、通常1回23.7mgを1日2回である。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国際共同第III相試験
eGFRが45mL/min/1.73m
2超の活動性ループス腎炎患者[ISN/RPS分類ClassIII、IV(単独又はClassVとの複合)でUPCRが1.5mg/mg以上、又はClassVでUPCRが2.0mg/mg以上]357例(日本人患者13例を含む)を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験において、ミコフェノール酸 モフェチル及びステロイドの併用下で、本剤23.7mg又はプラセボを1日2回52週間経口投与した。主要評価項目である52週時点の腎奏効率
注1)は、本剤群40.8%、プラセボ群22.5%であり、プラセボ群と比較して統計学的に有意に高かった(p<0.001)(表17-1)
21)。
表17-1 52週時点の腎奏効率
| プラセボ群 (178例) | 本剤群 (179例) | プラセボ群とのオッズ比 [95%信頼区間] p値 |
52週時点の腎奏効率 | 22.5% | 40.8% | 2.65 [1.64,4.27] p<0.001 |
副作用発現頻度は、本剤群で178例中80例(44.9%)であった。主な副作用は糸球体濾過率減少32例(18.0%)、高血圧13例(7.3%)、帯状疱疹7例(3.9%)、頭痛6例(3.4%)及び腎機能障害6例(3.4%)であった。[
5.2、
7.1参照]
17.1.2 国際共同長期投与試験
国際共同第III相試験で52週間(12箇月)投与を完了したループス腎炎患者216例(日本人患者6例を含む)を対象としたプラセボ対照二重盲検長期投与試験において、ミコフェノール酸 モフェチル及びステロイドの併用下で、本剤23.7mg又はプラセボを1日2回24箇月間、計36箇月間経口投与した時、投与開始12箇月以降6箇月ごとの腎奏効率
注1)の推移は表17-2のとおりであった
22)。
表17-2 腎奏効率の推移
| プラセボ群 (100例) | 本剤群 (116例) | プラセボ群とのオッズ比 [95%信頼区間] |
12箇月時点の腎奏効率 | 34.0% | 52.6% | 2.30 [1.30,4.05] |
18箇月時点の腎奏効率 | 46.0% | 63.8% | 2.19 [1.25,3.83] |
24箇月時点の腎奏効率 | 43.0% | 56.0% | 1.81 [1.04,3.16] |
30箇月時点の腎奏効率 | 42.0% | 59.5% | 2.24 [1.28,3.92] |
36箇月時点の腎奏効率 | 39.0% | 50.9% | 1.74 [1.00,3.03] |
副作用発現頻度は、本剤群で116例中28例(24.1%)であった。主な副作用は、糸球体濾過率減少8例(6.9%)であった。
注1)[1]〜[5]全てを満たすことを基に判定委員会で判定。[1]UPCRが0.5mg/mg以下である、[2]eGFRが60mL/min/1.73m2以上である、又はeGFRのベースラインから20%を超える低下が確認されない、[3]ループス腎炎治療のため、救済薬投与を受けていない、[4]腎奏効評価前8週間に投与されたプレドニゾン量が3日間以上連続又は合計7日間以上で10mgを超えない、[5]52週時点で試験を中止していない。
17.3 その他
17.3.1 QT間隔に対する影響(ISA03-11試験)
外国人健康成人を対象に、本剤0.5、1.5、3.0、4.5mg/kg
注2)を単回経口投与したときのQTc間隔の変化量のプラセボとの差の最大値(95%片側信頼区間の上限値)は、それぞれ6.4(11.6)ms、14.9(20.1)ms、25.7(30.9)ms及び34.6(39.8)msであり、いずれの用量においてもQTc間隔の延長が認められた。また、モキシフロキサシン400mgを単回経口投与したときにQTc間隔の延長が認められた
23)。
17.3.2 QT間隔に対する影響(ISA05-03試験)
外国人健康成人を対象に、本剤0.3、0.5、1.5mg/kg
注2)を7日間反復経口投与したときのQTc間隔の変化量のプラセボとの差の最大値(95%片側信頼区間の上限値)は、それぞれ0.8(4.7)ms、2.4(6.2)ms及び2.8(6.9)msであり、いずれの用量においてもQTc間隔が延長する傾向は認められなかった。一方、モキシフロキサシン400mgを単回経口投与したときにQTc間隔の延長が認められた
23)。
注2)本剤の承認された用法及び用量は、通常1回23.7mgを1日2回である。
18.1 作用機序
ボクロスポリンは、T細胞においてシクロフィリンと複合体を形成し、カルシニューリンに結合することでカルシニューリンを阻害する。これによりリンパ球増殖、T細胞サイトカイン産生、及びT細胞活性化表面抗原の発現が抑制され、免疫抑制作用を示す。
18.2 カルシニューリン阻害作用
ボクロスポリンはカルシニューリン活性の阻害作用を示した
24)(
in vitro)。
18.3 リンパ球増殖抑制作用
ボクロスポリンは、リンパ球増殖抑制作用を示した
25)(
in vitro)。
18.4 心移植モデルにおける免疫抑制作用
ボクロスポリンは、心移植モデルラットにおいて異種移植した心臓の移植片生着期間の延長効果を示した
26)。
吸湿性を有するためPTP包装のまま保存すること。[
14.1.2参照]
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
本剤は新医薬品であるため、平成18年3月6日付 厚生労働省告示第107号に基づき、2025年11月末日までは、投薬は1回14日分を限度とされています。